燃費基準達成車と低排出ガス車のステッカーなぜ廃止? クルマに貼るステッカーはどんなものがあるのか?

■車体貼り付けか、カタログ掲載かの二者択一

お馴じみの燃費基準達成と低排出ガス車のステッカー
お馴じみの燃費基準達成と低排出ガス車のステッカー

 まずは実車への貼り付けが廃止されることになった燃費基準達成車と低排出ガス車に貼られていた“認定”ステッカーについて、その意味合いを確認してみよう。

 自動車の燃費基準とは、国土交通省が「エネルギーの使用の合理化に関する法律」(省エネルギー法)」に基づいて設定した、メーカーに求める自動車の燃費性能に対する目標値である。通称“省エネ法”の歴史は古く1979年に制定された。

 1999年に改定を受けて乗用車ではいわゆるトップランナー方式、ごく簡単にいえば、最も燃費の良いモデルを基準として、販売車両の燃費向上率が審査されるようになった。これを受けて、2000年から低排出ガス車、2004年から燃費基準達成車へのステッカーの貼付がそれぞれ開始された。

 今回のステッカー貼付廃止のきっかけといえるのが、2020(令和2)年12月末に経済産業省と国土交通省は燃費基準の変更と税制改定を公表、2021(令和3)年3月末に施行した。

 具体的には、「自動車重量税のエコカー減税及び自動車税・軽自動車税の環境性能割について、新たな2030年度燃費基準の下での区分の見直し等、所要の措置を講ずる」として、「環境性能割の臨時的軽減」(適用期限を9ヵ月延長し、令和3年末までの取得を対象)や「グリーン化特例の内容を見直したうえでの2年間延長」などが実施された。

 これまでステッカーに示される燃費基準達成値や排出ガス基準の低減率などは、自動車取得税や旧自動車税の環境性能割などが減税される、いわゆる「エコカー減税」の減税率に関わってくるから、ステッカーが貼られた車両の大まかな燃費性能と税制上の優遇の程度がわかるという仕掛けになっている。

■法律改定がきっかけ

 このような法律改定としては、政府が2016(平成28)年度の燃費実績を元に2019(令和元)年に策定した、2030(令和12)年度を目標とした燃費基準値の削減達成率が表示される。ちなみに、新たな燃費基準値は平均25.4km/Lとされ、2016年度実績値と比べて32.4%の改善を狙っている。

 まずは緑色の楕円形内に星が表示される「燃費基準達成車ステッカー」に記載された内容を確認すると、目標とされる年次の燃費達成基準と達成率がポイント(%)表示されてきた。

 表示内容については、前記の燃費基準と繋がる排出ガス基準値を元に、星5個の☆☆☆☆☆から始まり、95%の星4個半に続き、5%刻みに55%の星半分まで設定されている。

 いっぽう、青色の楕円形の中に星印が表記される「低排出ガス車標章」は、自動車の排ガスに含まれる有害物質(窒素酸化物、一酸化炭素、炭化水素など)の排出量が、法令で定められた規制値より何%低減されているかを示している。

 表記の例としては上から「☆☆☆☆ 低排出ガス車 2030年 排出ガス基準 ──%低減 国土交通大臣認定車」といったようになり、規制値から75%以上低減されていれば星が4つ、50%以上であれば星3つといったように格付けされている。

 ところで、今回の実質的なステッカー貼付が廃止された理由には、従来から法律で義務化されているわけではないこと、すなわち政府主導、メーカー実施という制度の成り立ちが大きく関わっている(車検ステッカーは法律で義務化されていることは後述する)。

 国土交通省のメディア向けのコメントを拾うと、「ステッカー自体に法令の定めはなく、貼られていなくても問題ない」とのこと。メーカーとしてもあくまで政府の通達ゆえにリリースなどで発表する義務はないのだから、粛々と車両から2種類のステッカーが消え去っていくことになる。

ステッカーの表示の具体例(参考資料:ホンダ)

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