フィアット500 1.2 スポーツ(5MT)/車重=990kg
中古車相場=60万~120万円
中古車市場のなかから1トン切りの「軽くて安くて速いモデル」を探すとすれば、このイタリア車がまずは候補となるだろう。
フィアット500に途中から追加され、現在は廃番となっている5MTグレード「1.2スポーツ」だ。
通常のフィアット500はデュアロジックという2ペダルMTを採用しているわけだが、こちら1.2スポーツは正真正銘の5MT。この5MTはシフトタッチも実は素晴らしく、短いゲートでカチカチ決まるそれはかなりの快感である。
とはいえこのクルマ、搭載エンジンは最高出力69psの1.2L、SOHCに過ぎないため、「速いか?」と問われれば「いや、むしろ遅いかもしれません」と答えざるを得ない部分もある。
しかし、非力なエンジンでもってアップダウンのある道をなるべく速く、なるべくスムーズに走らせるために頭と身体を使ってコキコキと変速させながら走るのは、少なくとも「めちゃめちゃ楽しい!」とは言える。
機械任せの変速に慣れきった身体に喝を入れ、精神を活発化させたい人にはかなり向いている一台だ。
ただしあまり売れなかったせいか、中古車の流通量が少ないのが玉に瑕ではあるのだが……。
先代マツダデミオ13C(5MT)/車重=970kg
中古車相場=15万~60万円
車重1トン切りの名車を中古車市場から探し出すとなれば、コレも外すわけにはいかないだろう。2007年7月にフルモデルチェンジした先代マツダ デミオの前期型の、なおかつ最廉価グレードである。
何も知らない人が先代デミオ13Cを見れば「おじさんかおばさんが乗ってる安い実用コンパクトカー(の中古車)」にしか見えないだろうが、実際の走りはまったくそうではない。
1.3L、直4DOHCエンジンは最高出力91psとほどほどだが、それが車両重量わずか970kgの高剛性ボディと組み合わされると途方もないドライビングプレジャーを生む。
具体的には、英国製ライトウェイトスポーツのごときステアリングのレスポンスと、軽やかな回頭性を生み出しているのだ。
先代デミオ13Cの5MTがあれば、もうロータスはいらない!……というのはさすがに言い過ぎだろうが、それに近い資質とフィーリングを備えているのが、一見する限りでは何の変哲もないハッチバックに見えるこのクルマだ。
スマートロードスター/車重=830kg
中古車相場=80万~160万円
「峠のミズスマシ」または「秋名の下りで拓海のハチロクに勝てる(かもしれない)一台」。それが、2003年から2006年までのごく短い期間に販売されたスマートの派生モデル、「スマートロードスター」だ。
おむすび型であった当時のスマート フォーツークーペと違い、こちらは全長3430×全幅1615×全高1205mmの超スポーティフォルムとなる2シーターモデルで、搭載エンジンは排気量698ccの直3、SOHCインタークーラー付きターボ。
これは当時のスマートに搭載されたエンジンと基本構造は同一だが、最高出力82ps/最大トルク11.2kgmまで増強されたユニットだった。
そのエンジンをリアに搭載して後輪を駆動させるRRレイアウトで、「ソフタッチ」という超クロスレシオの6速セミATはややおマヌケな部分もあったが、かなりメリハリの利いたターボエンジンと、峠の下りを自在に舞うかのごときハンドリング性能との組み合わせは「痛快!」のひと言。
ブレーキがややプアなため、実際は(?)秋名の下りで拓海のハチロクに勝つのは難しいと思われるが、少なくとも「勝利の予感」は感じることができる素晴らしい2座式オープンである。
昨今、中古車の流通量はずいぶん少なくなってきたが、この種のやや古い輸入スポーツカーで起こりがちな「相場の高騰」は、今のところさほどでもない。 多くの人がこの車の価値に気づき、相場が高騰してしまう前に手に入れたい、わかる人にはわかる逸品だ。
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