■トヨタのラインナップはオリンピックより強い!?
さらに、新型アクア、新型ランドクルーザーに近いタイミングで、すでに海外デビューしている“カローラクロス(カローラの名前のつくクロスオーバーSUV)”が国内デビューするのではないかともいわれている。
車格としては“RAV4以下ヤリスクロス以上”といったところになる。そのため、例えば「カローラクロスではいまひとつ」というお客には、RAV4またはヤリスクロスを薦めればいい。
そういった理由でも、他モデルの販売へも弾みがつくので、現場のセールスマンもカローラクロスの国内デビューを心待ちにしている。
しかし、「デビュータイミングが本当に気になるところです。現状ではヤリスクロスが長期の納期遅延となっており、現状では越年納車も見えてきました。
仮に9月あたりにカローラクロスがデビューしたとすると、予約受注で初期ロットの車両のなかに希望仕様があれば、カローラクロスデビュー以前に受注していたヤリスクロスのお客様より納車が早まってしまうことになります。
どちらを売るべきか、トラブル発生リスクを考えると悩ましいところですね」とは現場のセールスマン。
さらに情報を探ると、ノア系のモデルチェンジが年末、そして2022年春にはトヨタブランドのBEV(純電気自動車)がデビューするのではないかなど、とにかくトヨタは新型車デビューの話に事欠かなくなっている。
東京オリンピック&パラリンピックの開催はいまだにはっきりしていないが、開催されれば世の中は“お祭り騒ぎ”になってしまい、ディーラーのショールームにお客を呼び込むのは、かなり厳しいものとなる。
ただし、新型車があれば話は別。まさに“人寄せパンダ”効果は絶大なのである。
■納期遅延による受注残車両は“貯金”のようなもの
平時でも7月中旬から8月いっぱいぐらいまでは、お盆の長期休暇もあり年間でも新車販売業界では指おりの“閑散期”と呼ばれている。しかし、その閑散期を話題の新型車などの力も借りて、それほどパワーダウンせずに乗り越えれば、9月の年度締めでの半期決算セールでも、パワー全開で対応することが可能なのである。
トヨタの販売力の強みは納期遅延なども手伝い、“受注残”車両を常時多数抱えていることもある。
この受注残車両はいわばディーラーやセールスマンにとっては“貯金”のようなもの。そのため、毎月受注残車両のなかから、どれぐらい当該月にナンバーをつけて納車できそうかと確認し、それをノルマから差し引き、残りを新規受注としてセールスマンは追いかければいいのである(販売実績は原則当月登録台数でカウント)。
現状で納期遅延が顕著なのはハリアーとヤリスクロスになっている。今後はこれに新型アクアや新型ランドクルーザー、場合によってはカローラクロスが納期遅延車として加わることにもなっていくだろうから、2021年度はトヨタ一強キープどころか、さらにそれが先鋭化することも充分にありえるのである。
ただし、東京オリンピック&パラリンピックが開催されるかどうかもはっきりしていないほど、いまの“非常時”では先行きは不透明。とりあえずは9月の2021年度上半期末決算セールの結果次第で、それ以降のより詳細な方向性は定まっていくのではないだろうか。
本稿執筆時点で、すでに5月に入っている。納期遅延車の多いトヨタでは6~7月の夏商戦終了後、9月の2021年度上半期末決算セールもそろそろ視野に入ってきている。
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