■シェア拡大よりもトヨタユーザーの囲い込みが重要
自販連統計をもとに、2020暦年締めでの新車販売総数(登録車)におけるトヨタ車の割合は約53%。ここ数年は45%前後とほぼ横ばいで推移していたので、一気にシェアアップしたことになる。
これは、なんといっても2020年5月からの、トヨタディーラー全店での全車種(一部車種を除く)併売化の影響が大きいのはいうまでもない。それまで一部ディーラーでの専売だった車種が全店扱いとなり、まずはトヨタユーザーのトヨタ車への乗り換えが活発になったことが大きいといえる。
販売現場で話を聞くと、2020年度(2020年4月から2021年3月)後半になると、他メーカー車ユーザーの来店も目立ってきたというが……。
2020年度の年間販売台数をみると、登録車全体の新車販売台数のなかでのトヨタ(レクサス含む)車の比率は2020暦年締めより2%ほど下がっている。年度末へ向かいトヨタ以外のメーカーも活発な販売活動を展開した結果ともいえる。
とはいうものの今後もトヨタは、シェア拡大というよりは、収益向上のほうがより意識されていることが考えられる。コンパクトカーは台数が売れるが、ライバルとの競合(値引き競争/トヨタディーラー同士もあり)も多いので、ここばかりに軸足を置くと全体の収益悪化にもつながる。
免許証の自主返納増加などもあり新車販売市場の縮小傾向に歯止めのかからない日本では、積極的なシェア拡大よりも、トヨタならば、トヨタユーザーを他メーカー車に逃がさない、つまり囲い込みをより強固にするほうが優先課題なのである。
■コロナ禍でも攻めるトヨタはもう止められない!?
ただ、トヨタ一強といえども自販連統計における車名(通称名)別販売ランキング(登録車)で、トヨタは今度の半期決算セールでは上位10車独占は狙ってくる可能性は高い。
次期型アクアはノートを意識している部分もあると思えるので、トヨタは他メーカー車に対しての“出る杭を打つ”的対策も目立ってくるかもしれない。そのような“ライバル潰し”などが功を奏して、副産物としてシェアアップという結果になることも充分に考えられる。
残念ながら、ワクチン接種が世界でも下位レベルで遅れている現状では、2021暦年ではなく、2021年度内(2022年3月まで)でさえ、新型コロナウイルス感染拡大が目立った収束傾向を見せることは難しいとさえいわれている。国民への行動自粛要請は今後も続くものとされていくだろう。
そうなると、新車販売が“プチ贅沢”志向を受けて好調を維持していくことも充分に考えられる。トヨタはこのコロナ禍でも積極的に攻めてきている。
新型車の数はメーカーマターの話となってしまうが、トヨタ系以外のディーラーが、いまのトヨタ系ディーラーに充分に対抗できるような、“ニューノーマル時代”に対応した新車販売のあり方を、模索でもいいからはじめないと、いまのトヨタ一強はますます目立ってくることになっていくだろう。
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