自転車に少額違反金導入!? 14歳以上が対象!? 警察庁が新たな制度を検討へ

自転車に少額違反金導入!? 14歳以上が対象!? 警察庁が新たな制度を検討へ

 警察庁の有識者検討会は2021年4月15日、自転車による交通ルール違反に対して新たな違反金制度の創設を求める中間報告書をまとめました。

 自転車には運転免許がなく点数制度が機能しないこと、危険運転が摘発されても道路交通法違反で起訴される割合が極めて低い現状を踏まえ、自転車による交通違反の抑止強化のため刑事罰ではなく行政罰として少額の違反金を支払わせる枠組みを作ることが提案されました。

 そこで、今回提案された少額違反金制度について、また直近の警察庁資料・データなどから分析した自転車による事故・交通違反の現状を合わせ柳澤隆志さんが解説します。

文/柳澤隆志
写真/Adobe Stock(トビラ写真=AdobeStock@maroke)

著者・柳澤隆志 PROFILE:外資系証券会社に25年勤務、米系証券会社東京オフィスにて史上最年少で最上級の職位であるマネージングディレクターに昇格し市場・投資銀行業務に精通、現在経営アナリストとして独立。
 社会人2年目で初代BMW Z3を購入、その後1996年式ポルシェ993カレラ4Sを21年間乗った後、新車同様のフェラーリ458イタリアが直近納車され、そのNAサウンドと切れ味鋭い走りを目下楽しんでいる。2018年式ヤマハYZF-R1も保有。

【画像ギャラリー】対象年齢は? 金額は? 自転車の交通ルールに関する新制度が検討中


■自転車の交通ルール違反に罰金とは正直驚いた

自転車と人との出会い頭の事故。最近では高額賠償金の例も出てきている(AdobeStock@Paylessimages)

 新たなモビリティのあり方について検討を進めていた警察庁の「多様な交通主体の交通ルール等の在り方に関する有識者検討会」が2021年4月15日に取りまとめた中間報告書で、自転車による交通ルール違反に対する少額違反金制度の創設の提言を行なった。

 新聞などでこのニュースをご覧になって「ついに自転車にも違反金か」とびっくりされた方も多いかと思う。3歳児が補助輪付きの自転車に乗っても誰もびっくりしないぐらいの身近な乗り物だ。その子が近所の「止まれ」と書かれた交差点でちゃんと一時停止をしなかったら反則切符を切られるのだろうか。

 報告書では具体的な違反金制度の詳細については触れられていない。一部新聞報道では違反金の対象は14歳以上になるのではとの観測が見られたが、別の新聞には「今後対象年齢や身分確認の方法、違反金額について議論を進める」とも書かれていた。

 ちなみに現在、自転車運転講習制度というのも存在する。危険な交通ルール違反を繰り返して3年以内に2回以上検挙された自転車運転者には、各都道府県公安委員会から3ヵ月以内の指定された期間内に安全講習(3時間・受講料6000円)の受講が命じられる制度だ。

 受講命令に従わなかった場合は5万円以下の罰金となる。この対象が14歳以上なので、今回の違反金制度も同様になるのではないかとの観測だ。

 現実的に少額違反金制度で自転車の交通ルール違反を取り締まれるのだろうか。運転免許の不携帯が違反となるクルマやバイクと違って自転車ユーザーは身分を証明するものを携帯する義務がない。

 取り締まりを受けたのにゴネて身分をなかなか明かそうとしない人が出るのは容易に想像でき、1件取り締まるのに1時間かかって少額の違反金、例えば2000円ほどしか徴収できなければ警察官の時給を考えたら赤字になってしまうのではないだろうか。

 どのような制度設計になるのか、実際に違反金制度が施行されるかどうかも含めて今後紆余曲折があるはずだ。

 ちなみに同じ報告書内で直近ベストカーwebでもお伝えした電動キックボードの規制緩和も提言されている。もしかするとアメとムチ、つまり規制緩和と規制強化がセットにならないと岩盤規制が動かなかったのかも、と勘繰りたくもなるというもの。

 この有識者検討会の委員は11名、つくば市長や有名コンサルティングファームのシニアパートナー、東大大学院の法学政治学教授、独立行政法人の交通安全環境研究所の部長や日本PTA全国協議会会長などが含まれている。

■違反金制度の導入の背景

急速に増えてきた自転車専用通行帯。もちろん逆走は違反だ。手前の自転車は自転車ナビマーク、奥の青い矢印は自転車ナビライン。矢印の向きに走行し、逆走はできない

 ではなぜ違反金制度の導入が検討されるようになったのだろうか。

 報告書では自転車に対する取り締まり強化と少額違反金の導入の根拠として、近年自転車事故の死亡・重傷事故全体に占める割合が増加傾向にあること、対自動車の死亡・重傷事故のうち約7割には自転車側にも法令違反が認められること、自転車による危険な歩道通行も大きな問題となっていることが指摘され、以下のように書かれている。

 「(略)良好な交通秩序を実現するためには、交通ルールの策定のみならず、その徹底方策も重要であり、特に、安全教育の推進と指導取締りは、車の両輪として推進することが適切であると考えられ、引き続き、危険な運転者に対する取締りを推進すべきである」。

 「他方、自転車の違反に対する刑罰的な責任追及が著しく不十分なものにとどまっている状況を踏まえれば、指導取締りについては、刑罰に代わる少額の違反金を課すなど、非刑罰的な手法も含め、違反の抑止のために実効性のある方法を検討すべきである」。

 噛み砕いていうと、「これまでルールは作ったが徹底されておらず、積極的に指導取り締まりを行わなければならない、そして違反しても実質罰せられないことで違反が放置されているので違反抑止のためには実効性のある違反金制度の導入が必要である」ということ。

 さらに「現状、自転車ユーザーのマナーは非常に悪く、正しく使われていない上、十分な取締りもできていない」と自転車ユーザーや取り締まりを行う当局の姿勢にかなり厳しい意見が出されている。

 この状況を是正するためには自転車の少額違反金の導入が必要だ、というのが有識者検討会の声を借りた警察の意向なのだろう。

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