■クルマ産業の大変革にホンダはどう立ち向かうのか?
では、今後ホンダのスポーツはどうなっていくのか?
過去を振り返るとシビックタイプRやFFのCR–X、CR–Zなどを除くスポーツモデルはF1と密接に関係しているのがわかる。F1活動が生産車への技術的フィードバック、企業のイメージアップというのはもちろんだが、経営的側面が大きく関係している。
ホンダF1はよく知られているように、第1期から第4期まである。第1期(1964〜1968年)の時には1963年にS500が誕生。第2期(1983〜1992年)では1989年のNSX、1991年のビート、第3期(2000〜2008年)では1998年のS2000。そして第4期(2015〜2021年)には2015年のS660と2017年のNSXがある。
このようにスポーツモデルの登場時期はF1と常にリンクしていて、F1から撤退する理由というのは、バブル崩壊やリーマンショックという経営環境が厳しくなった時や、排ガス規制や今回のようにEVへの大転換期という、原資を他の開発費に投入しなければならない時なのだ。
こうした撤退期間中には新たなスポーツモデルというのはなかなか出てきていないというのが、ホンダスポーツ戦略の特徴でもある。
簡単に言えばそれどころではない、ということなのだろうが、今年ホンダは八郷体制から三部敏博新社長に変わった。研究所時代、4輪車開発のボスだった三部さんにベストカーは何度かインタビューを行い、その時に受けた印象は極めてクルマ好きだということだ。
ホンダはこの三部さんが宣言したEV化を推進することになるだろうが、三部さんの研究所時代の2011年の東京モーターショーで公開したS660の前身、「EVスター」やホンダeのクーペ版とも言える2017年の「ホンダスポーツEVコンセプト」を見る限り、S660、S2000、NSXの後継車はEVとして生まれ変わる可能性が高くなった、と言えそうだ。
今後F1から、フォーミュラEにホンダが参戦することになるような時、ホンダS 2000の後継となるミドルサイズスポーツは世界に類のないEVスポーツとして出てくるに違いない。
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