ライフラインの確保も
阪神淡路大震災の際、ガソリンスタンドは、建物への被害はほとんどなかったものの、停電によって給油ポンプが稼動せず、給油ができない、という状況に陥りました。これを教訓に、経済産業省・資源エネルギー庁では、1996年度から整備費の一部を国から補助し、「災害対応型給油所」の普及に力を入れています。
災害対応型給油所とは、災害対応能力を強化したガソリンスタンドのこと。停電した場合でも給油機能を維持することができる太陽光発電設備や内燃機関発電設備をもち、災害時に緊急車両への優先給油等が行うほか、断水時には周辺住民へ生活用水を供給する貯水設備等を備えています。
全国的にもまだ対応店舗数は多くはないですが、災害時にライフラインを確保する、という地域にとって重要な役目を担う施設なのです。もしもの時の備えとして、一度、ご自宅から最寄りの災害対応型給油所をチェックしておくことをおすすめします。
急ピッチで進む「停電時にも給油できるSS」化
災害対応型給油所は、緊急車両への優先給油が目的ですが、停電の際、地域の住民が給油できるように整備されているのが、住民拠点サービスステーションです。自家発電設備を備え、災害などが原因の停電時にも継続して給油を行うことができます。
停電は地震だけでなく、台風などの気象災害でも起こります。災害時に、ガソリンスタンドの沿道に長い行列ができているのをニュース等で見かけますが、停電によってガソリンを供給できず、営業しているガソリンスタンドが少ないことに加え、住民も停電の影響でクルマの使用頻度が増えるため、営業しているガソリンスタンドに殺到してしまうのです。
資源エネルギー庁によると、2020年12月1日時点で、全国約30,000箇所のガソリンスタンドのうち、8,617箇所が住民拠点サービスステーションとなっているとのこと。今後は、全国で15,000ヵ所を目指し整備される予定とのことです。この住民拠点サービスステーションについても、自宅周辺にいくつあるのか、チェックしておくといいでしょう。
帰宅困難となったときにも
ほかにも、ガソリンスタンドでは、災害時の帰宅困難者支援事業に取り組んでいる施設もあります。帰宅困難となった方々へ一時休憩所として、飲料水やトイレの提供、ラジオやテレビなどによる情報や、地図等による道路情報の提供などを行ってくれるそう。
ガソリンスタンドは「災害に強い」という特性を活かし、地域社会のライフスポットへと進化しています。次回給油する際には、いつも利用しているガソリンスタンドが、「住民拠点サービスステーション」となっているか、チェックしてみてください。
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