ライバルはキックス、新型ヴェゼル、そしてC-HR
カローラクロスが国内導入となった場合、ライバルとなるのは、キックスや新型ヴェゼル、そして身内では、ヤリスクロスとC-HRあたりだろう。
キックスは、e-POWERによる動力性能や、俊敏なハンドリングが魅力的だ。e-POWERのみとしたことで、約276万円(グレードX)~というやや高めの価格がネックだが、カローラクロスと価格帯もおそらくかぶるため、この2台は、いい勝負となるかもしれない。
新型ヴェゼルも、いいライバル関係になりうる。静かで滑らかなe:HEVの走りは高品質であり、ダイブダウン方式で折りたためる後席シートによって荷室が広大なのも、ヴェゼルならではの魅力だ。ガソリン車は約227万円~、e:HEVが265万円~と価格帯も近い。さらには内外装デザインも、清潔感が高く、新鮮味がある。
しかし、カローラクロス最大のライバルは、身内のC-HRだろう。同世代のTNGA (GA-C)プラットフォーム車の2台は、走りに特化したC-HRと、使い勝手に特化したカローラクロス、若干ながらキャラ分けもできているが、そこまで理解して購入される方、おそらく少ない。
もしも、カローラクロスが日本導入されると、真っ先に影響が出るのは、おそらくC-HRだろう。CH-Rは2016年12月登場から現在5年目、国内販売終了も考えられる。
「販売のトヨタ」の手腕が問われる
トヨタの国内のSUVラインアップは、レクサスブランドも入れれば、合計で12車種もある。サイズの違いやパワートレインの違いはあるにせよ、どう見てもオーバーラップする部分が多い。タイで、カローラクロスが成立しているのは、ヤリスクロスやRAV4がラインアップにいないからだ。
国内でカローラクロスが成功するか否かは、日本仕向けとしてどれほど付加価値を付けられるかにかかっている。カローラクロスは、やや欧州車の香りがするデザインをしており、同じく欧州チックなヤリスクロスがウケていることを考えると、カローラクロスも支持される可能性はある。
だが4WDの設定もなく、リアサスもトーションビーム式の「なんちゃってSUV」に、200万円後半の金額を出す顧客が、そうそういるとは思えず、積極的にカローラクロスを選ぶ理由は、今のままだと見当たらない。カローラクロスがヒットするには、最低でも、C-HRと同価格帯(ハイブリッドは約274万円~、ガソリンCVTは約241万円~)までに下げる必要がある、と筆者は考える。
カローラクロスの日本導入は、「販売のトヨタ」の手腕が問われるポイントとなりそうだ。
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