■当分の間はディーゼル車で排出目標をクリアできる
極悪路を走るときのパワーユニットとしても、苦手とする状況が出てくるようだ。ようするにランクル300のようなヘビーデューティのクルマだと、ハイブリッドはメリットを出せないということ。
いっぽうディーゼルエンジンであれば、こういった問題をすべて解決できた上で、燃費=二酸化炭素排出量も大きく減らせるのだった。
考えていただきたい。我が国における二酸化炭素対応は、クリアすべき2つのゲートがある。9年後の2030年にクリアすべき最初のゲートと言えば「2013年比で46%の削減」。つまり二酸化炭素の排出量を半分くらいに減らしましょう、ということ。ハイブリッドでもディーゼルでもいいから減らせばいい。電動化車両に限定されない。
そして2050年のゲートが「二酸化炭素を増やさない」(カッコよく表現すると「カーボンニュートラル」)。
走行中、二酸化炭素を排出しちゃダメということ。ランクルもこのゲートを通過することになる。しいてもうひとつ理想を挙げるなら、「ただちに二酸化炭素の排出量を減らしたい」--こうした状況に、どう対応しているのか?
まず「ただちに」ということへの対応はディーゼルなんだと思う。
V8のガソリンエンジンしか選べない現行型ランクル200のWLTCモード燃費をみると、6.7km/L。ランクル300の売れ筋はWLTCで10km/L程度のディーゼルになるだろう。乗り換えたら、実用燃費だと間違いなく30%以上改善される。ハイブリッドをしのぐ燃費改善率といっていい。現行モデルから新型のディーゼルに乗り換えたら、それだけで30%近い二酸化炭素削減になるワケ(下取られたランクル200の大半は海外に出て行く)。
直近の「やるべきこと」は、ディーゼルの投入で充分達成可能。
■「陸の王者」には代替燃料がピッタリ!?
2013年比46%減が要求される次なるゲートがやってくるまでにハイブリッドや電気自動車を作ればいいか?
これは簡単じゃない。そもそも「遠くまで行って帰ってくる」というニーズのランクル300と、電気自動車の相性はよくない。前述のとおり、ハイブリッド化しても二酸化炭素の排出量を半分にできるという雰囲気もなし。
そこで出てくるのが二酸化炭素を増やさないeフューエルやバイオエタノール、バイオディーゼルといった代替燃料である。
航空機や船舶など、電動化出来ない移動手段は、大気中の二酸化炭素を植物やプランクトンなどから回収し、そこから燃料にした、広い意味でのeフューエルを使うことになる。ブラジルなどで使われているガソリン代替のバイオエタノールや欧州のバイオディーゼル、二酸化炭素の排出量は、ゼロ(カーボンリサイクル)とされる。
当然ながら(そうした代替燃料を)大量に作るだろう。ガソリンや軽油より高くなるだろうから乗用車用としては使いにくいが、ランクルのような特殊用途のクルマなら多少割高でも使用せざるを得ない。
2030年で半分をバイオ系にし、2050年時点で100%バイオ系にすればカーボンニュートラルになる。エンジンなど主要ユニットは小改造で対応できます。
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