BMW EVブランド初のMパフォーマンスモデル発表! これが将来のEVスポーツモデルの理想形か?

■世界のEVスポーツカーと徹底比較

761ps/1050Nm、0-100km/h加速が2.8秒を誇るポルシェタイカンターボS
761ps/1050Nm、0-100km/h加速が2.8秒を誇るポルシェタイカンターボS

 ご存じのように、すでに欧州では高性能EVが続々と発表されており、その代名詞が「ポルシェタイカン」だ。そして、高級EVの流れを推し進めた「テスラモデルS」にも高性能モデルは存在する。そんなライバルたちとの性能も比較してみよう。

航続距離は628km(推定)、0-100km/hは2.1秒、最高速度は322km/h、最大出力は1020psという驚くべき内容の新型テスラモデルSプレイド
航続距離は628km(推定)、0-100km/hは2.1秒、最高速度は322km/h、最大出力は1020psという驚くべき内容の新型テスラモデルSプレイド

 BMWのEVとしては最も高性能なモデルだが、すでに世界では、より高性能なEVが続々と登場。特に、高性能EVバトルに油を注ぎそうなのが、2021年6月に発表されたテスラモデルSの高性能モデル「プレイド」だ。タイカンターボSさえ凌駕する、ズバ抜けたスペックを叩き出している。

BMW i4 M50を世界のEVのスポーツモデルと比較してみた(※ブースト機能値を含む)
BMW i4 M50を世界のEVのスポーツモデルと比較してみた(※ブースト機能値を含む)

■今後、BEVのM3、M4が登場する!?

2021年1月に日本導入された新型BMW M3/M4
2021年1月に日本導入された新型BMW M3/M4
直列6気筒2997ccターボエンジンを搭載。M3/M4の“Competition”では510ps/66.3kgmを発揮。トランスミッションは2ペダルの8速Mステップトロニックを組み合わせる
直列6気筒2997ccターボエンジンを搭載。M3/M4の“Competition”では510ps/66.3kgmを発揮。トランスミッションは2ペダルの8速Mステップトロニックを組み合わせる
純エンジン車のM3/M4と、それを上回る性能で登場させたBEVモデルのi40 M50。同時期にデビューというのは凄い
純エンジン車のM3/M4と、それを上回る性能で登場させたBEVモデルのi40 M50。同時期にデビューというのは凄い

 BMW i4で注目すべきは、BMW i Mモデルの名称だ。BMW Mモデルは、現在、「Mパフォーマンスモデル」と「Mハイパフォーマンスモデル」のふたつに分類されている。Mの頂点であるMハイパフォーマンスモデルの名称は、「M+モデルレンジ」やSUVラインのような「モデル名+M」とされる。

 一方、「Mパフォーマンスモデル」の名称は、M440iやM40iのように「M+グレード名」となるのが、パターンだ。この法則から読み解くと、「i4 M50」は、Mパフォーマンスモデルに相当すると考えるのが妥当だろう。

 つまり、今後EVの純粋なMが登場する可能性も十分ある。ひょっとすると、i8のようなスーパーカーが、再び投入される可能性もあるかもしれない。

 それはロータスの「エヴァイヤ」のようなEVハイパーカーの登場。そして、スポーツカーブランド「アルピーヌ」のEVブランドへのシフト宣言などの各ブランドの新たなスポーツカー戦略が挙げられる。

 そして、BMW iに、これまでなかったMモデルラインが登場したことによる影響は大きいだろう。

 最大のライバルであるメルセデスAMGは、マイルドハイブリッド仕様のみ。フルEVとなるメルセデスEQには、BMW Mのようなハイパフォーマンスモデルの設定がない。

 ただし、その背景には、日常領域で求められる高性能は、EVの特徴である鋭い加速など標準モデルでも叶えられている現実がある。メルセデスとしてはクレバーな選択を貫くのも一つの選択だ。

 ただ世界的なEVシフトの流れを考慮すれば、いずれスーパーなメルセデスEQを待ちわびる声も高まるはずだ。

 しかし、主要モデルがEVやPHEVへとシフトが進むなか、付加価値の高い特別なモデルは、もう一世代マイルドハイブリッド仕様などのエンジン車が用意されるのではないかとも思える。

 その理由には、ハイブリッド技術の進化によるエンジンとモーターのフュージョンにも心地よさが感じられるようになったことが挙げられる。

 つまりエンジン車の効率を高めることで、もう一花咲かせるのではないかということだ。そのため、全て高性能モデルが、高性能EVへとシフトするのは、もう一世代後からが本格化となると予測する。

 これは現実的な課題として、ハイパワーとロングドライブをEVで実現するためには、大容量バッテリーの搭載が必須であり、ボディサイズやスタイルの制約。そして何よりも重量の問題を抱えているからだ。

 フレキシブルに使えるEVライトウエイトスポーツの登場には、まだまだ時間が必要なのだ。そして、トヨタのように、水素エンジンのような新しい技術的なアプローチも起きてくるだろう。

 何より重要なのは、全てをいち早くEVにすることではなく、クルマが与える環境負荷を低減させることにある。

 もちろん、CO2排出ゼロのためには、既存のエンジン車が生き残ることはできないが、代替燃料という手法も大きな可能性を秘めている。

 ただEVの高性能化は、EV時代の競争領域であるため、今後、急激に加速していく。しかし、それは環境負荷という側面とは相反する。

 そのため、過度な性能を持つ高性能EVに対する規制が提案されることも十分にあるだろう。そこで社会的な意味を考え、EVは、Mパフォーマンスモデルまでに留め、スーパーカーのような特別に限り、Mハイパフォーマンスモデルのような性能を与える量産車メーカーもでてくるのではないだろうか。

 なにはともあれ、BMW iのMパフォーマンスモデル登場は、EVの可能性を広げるとともに、これからしばしの間、過去と未来の価値を持つハイパフォーマンスモデルが存在する時代の到来を意味する。それは将来振り返った時に、今の時代を生きる我々だけが味わえた贅沢なひと時になるかもしれない。

 日本人としては、日本車のEVスポーツモデル、ホンダのE-TYPE R(仮称)の発売が待ち遠しい!

BMWのBEVブランド、iのラインナップ。左からi4 eDrive40、iX xDrive40、iX3、i3
BMWのBEVブランド、iのラインナップ。左からi4 eDrive40、iX xDrive40、iX3、i3

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