15分でも命にかかわる!! 「ちょっとだけ」が招く子どもやペット車内置き去りの危険性

 本州は東海・関東甲信地方で梅雨明けし、天気予報の週間天気を見ると35度の日が続くとされている。そんな暑い時期に毎年問題になるのが、幼児やペットの車内置き去りによる死亡事故だ。

 体温調節機能の未熟な幼児や、体温調節の苦手な犬にとっては、高温の車内にちょっとの放置されるだけでも命にかかわるケースがある。海外では、ちょっと放置しただけでも、第三者が窓ガラスを割って幼児や犬を救助するというケースもあるくらいだ(ドライバーは逮捕される場合もある)。

 ドライバーとして、大切な命を守るための正しい知識を、長期連休などでクルマに乗る機会が増える前に、きちんと知っておいていただきたい。今回は、車内置き去りの危険性と、どのように対処するべきかについて解説していく。

文/青山尚暉
写真/Adobe Stock(由依 恒川@Adobe Stock)

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■たった15分で車内は熱中症危険度の高い空間に変わる

 この季節のクルマの移動では、エアコンを使わないと到底、車内にいられるものではない。クルマの車内は鉄板とウィンドウガラスに囲まれた密閉された、極めて熱を持ちやすい空間でもあるのだ。

 例えば、エアコンをかけて走行後、晴れ、気温35度の日の炎天下に駐車したとすると、それまでエアコンのおかげで車内平均温度26度だった車内の最高温度は、約10分で35度~40度に。約30分で40度~45度に。1時間放置すれば45度~50度以上になる。特に熱を吸収しやすいダークカラーのボディが、より車内温度が上がりやすいというデータもあるから恐ろしい(JAFユーザーテストより)。

今年は梅雨時期でも30度を超える日があった。2020年の夏は例年よりも暑い予報で、最高気温が35度を超える日が多くなりそうだ(mbruxelle@Adobe Stock)

 つまり、エンジンを切った車内はたった数分でも、オーブントースターの中のようになってしまうのだ。イギリスの動物愛護団体「Dog Rescue」が車内に放置された、犬のカタチをした氷像がどうなるかの映像を公開しているが 、わずか20分で氷(犬)は解け、首輪だけに。つまり、それだけの時間、車内に犬を放置しただけで犬が死に至ってしまうケースもあることになるのだから恐ろしい。

高温の車内の危険性を訴えた動画は写真をクリック(外部配信サイトからは閲覧できません)

 これは、サンシェードを使おうと、窓を少し開けても同じである。季節を問わず(冬でもポカポカ陽気の日中は温室効果で車内温度は高まる)、まして暑い季節は、ほんの少しの時間でも、子供や愛犬を車内で待たせておくのは危険極まりない。実際、熱中症で命が危険な状態に陥る、あるいは命を落とす悲惨な事例が後をたたないのである。

「エアコンを効かせて走ってきた直後だから、しばらく車内は涼しいままだろ」……なんていう思い込みを解くためには、ドライバー自ら、エンジンを切り、そのまま車内にいてみるといい。数分で汗が吹き出し、15分もすれば我慢の限界に達するはずだ。それが、自らドアを開けて避難することも、外に助けを呼ぶことのできない幼児や犬だったとしたら……。

■ペットや幼児連れなら押さえておきたい事前の対策

 そもそもエアコンを効かせた夏のドライブでも、乗員が涼しく快適に感じられるのは、中大型ミニバンのように後席エアコン吹き出し口があり、ボルボの上級車種のように後席用エアコン吹き出し口がセンターコンソール後端とBピラーにあるようなクルマは別にして、基本的にダッシュボードのエアコン吹き出し口から近い前席がメインだ。

 わが家の愛犬専用!? ステーションワゴンには、後席に乗車させる愛犬の熱中症対策として後席、ラゲッジ部分にも温度センサーを配置。運転席から後席、ラゲッジスペースの車内温度がリアルタイムでわかるようになっているのだが、エアコンを効かせて走行中、前席部分の車内温度がそこそこ快適な26度であっても、後席エアコン吹き出し口完備ながら車内後部は30度を上回っているぐらいの違いがある。

体温調節機能が未熟なうえに、熱がこもりやすいチャイルドシートに座っている幼児と、人間のように汗をかいて体温調節をすることができない犬は特に注意が必要なのだ(Anna Belova@Adobe Stock)

 暑い日の愛犬連れドライブでは、幼児はもちろん、1年中、毛皮を着ていて、足の裏からしか発汗できず、体温調整が苦手な犬に最大限の配慮をすべきであり、犬の場合は1時間半に1回は涼しい場所で休憩させ、水分補給をしてあげたい。

 というか、わが家では、基本的に真夏には愛犬連れのドライブは極力、しないようにしている(以前、仕事で7月下旬に、避暑地と言われている山中湖に愛犬たちと出掛けたことがあるのだが、今や地球温暖化で避暑地とはいえ35度を超す暑さで、2泊3日の最終日、シニア犬の1頭の具合が悪くなり、そのまま動物病院に直行。急性膵炎と診断され、緊急入院。15万円ほどの出費を強いられた苦い経験がある)。

 とはいえ、夏休み、お盆休みに愛犬や幼児を連れて、クルマで帰郷、ドライブ旅行に行く計画がある人もいるはずだ。そんなケースでは、暑さ対策のためのドライブプラニングが重要になる。

 移動はできるだけ早朝、夜遅くの涼しく、強い日差しのない時間帯に行い、途中、高速道路のサービスエリアに寄るにしても、子供や愛犬が車内に残るとしたら、エコより命を優先。エアコンONのまま、誰か一人が車内に残ることが鉄則だ。

幼児や犬は自ら助けを求めることは難しい。「ほんの少しだから」が重大な事故の原因となるので、夏場クルマを降りる際は必ず連れていくか、誰かが一緒に車内に残る必要がある(Vera Aksionava@Adobe Stock)

 わが家では、夫婦、ひとりずつ、トイレや買い物に行くことにしている(犬が入れないレストランは利用せず)。サービスエリアで犬をお散歩のために下ろすなら、緑地やドッグランのある場所を選び、その上で、なるべく灼熱のアスファルトの上を歩かずに済む(夏のアスファルト路面温度は60度を超えることもあるし、犬は靴を履いていないため、肉球を火傷する危険性あり)、緑地の近くに駐車すべきだろう。

 さらに、ドライブ途中にランチをとるにしても、あらかじめ涼しい店内に幼児、愛犬同伴可能なお店を選び、予約しておくことだ(満席対策)。どんな場所であれ、「子供や犬が入れないお店だから、車内に置いていく」というのは、絶対にNGである。目的地を自由に決められるドライブ旅行であれば、涼しい高地、避暑地、湖畔などを目指すべきだろう。

■海外では逮捕の事例も! 置き去りは重大な違反であることを知ろう

 話を車内放置に戻そう。パチンコ屋の駐車場に子供を車内に残したままパチンコをしている愚かな親のニュースをたまに見かけるが、一部の良心あるお店では、「そうした子供を放置したクルマを発見したら、窓を割ってでも救出します」という張り紙があったりするらしい。

2020年もすでに車内置き去りによる、幼児の死亡事故が発生している。第三者では、窓ガラスを割るといった行為は躊躇することもあると思うが、人命を救出するためにクルマなどを壊さざるを得ない場合、その行為は法律によって保護される(yamasan@Adobe Stock)

 では、もし、車内に犬が放置され、ぐったりしているのを見かけたら、どうすべきだろうか。イギリスの例では、警察に通報したものの、駆けつけるのに時間がかかり、緊急性を優先し、通報した善意の第三者が窓を割ってレスキューしたという報告もあるし(緊急性の証拠となる写真、動画撮影、目撃者の連絡先メモは不可欠)、国によっては動物愛護法違反となり、飼い主は即、逮捕。

 愛犬家なら誰もが見ているはずの映画『僕のワンダフルライフ』でもそうした救出シーンが描かれている。日本でも、どこにいるか分からない飼い主を探すより、躊躇することなく行動し、お店に声をかけるか、最寄りの交番、もしくは110番、警察に通報。命に係わる緊急性を伝えるべきだろう。

 環境省による令和元年6月に改正された動物愛護管理法では「愛護動物をみだりに殺し又は傷つけた場合は、5年以下の懲役又は500万円以下の罰金に処される」ほか、「その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し~中略~適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること」で、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処されることになる。

※編集部注:保護者が子供を放置し、その結果、怪我や病気もしくは死に至った場合、刑法の「保護責任者遺棄致死罪」や「重過失致死罪」で、厳しく罰せられる。「保護責任者遺棄致死罪」は3カ月以上5年以下の懲役。「重過失致死罪」は5年以下の懲役、5年以下の禁錮、50万円以下の罰金となる

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