■バッテリー上がりの前兆はあるのか?
■バッテリー上がりの前兆
・バッテリーターミナル端子に粉が付いていたり、バッテリーがよく減る
・セルモーター音が鈍くエンジンがかかりにくくなる
・エアコンONやワイパーを同時に使用した際にヘッドライト暗くなる、走行時と停車時で明るさが違う
・アイドリングストップ機構の付いたクルマ場合、信号待ちでアイドリングストップする頻度が減った
・オルタネーターの故障
外出先で、バッテリー上がりが原因で立ち往生するほど、困るトラブルはないだろう。特に30℃を超える真夏日の日中、ロードサービスを待つ間は冷房も使えないのなら、パンクより始末が悪い。
バッテリー上がりの前兆としては、バッテリーの電圧が下がるとセルモーターの回転数が低くなることは、よく知られている。
ホーンやヘッドライトなどと比べて、セルモーターは一気に大電流を使うので、電圧降下が起こりやすいからだ。ヘッドライトが暗い、アイドリングストップする頻度が減った、なども前兆といえる。
それ以外で、バッテリーが弱っていると感じるとするなら、それはよほどバッテリーが弱っているか、ほかに原因がある可能性がある。
電装系統のトラブルとしては、オルタネーターのICレギュレーターが壊れることで発電しなくなってしまうケースも少なくない。これも冒頭のエンジンルーム内の温度上昇が関係していることもある。
というのも、オルタネーターはある程度の耐熱性は確保しているが自らも発熱するため冷却されることが前提だから、特に電子部品が組み込まれる制御部分は暑さに弱いのは否めない。
これは一気に壊れることもあるが、徐々にダメージが蓄積されていくケースもあるようだ。どちらにせよ半導体であるICは壊れる時には突然なので、発電できなくなって走行中もバッテリーから電力供給することになり、気付いたらバッテリーが上がってしまった、というトラブルになることもある。
■主なクルマの装備品の消費電力
・セルモーター:瞬間最大3600W
・エンジンイグニションON時:12~60W
・エンジンアイドリング状態:160~190W
・電動ファン:60~85W
・ヘッドライトHI(標準バルブ):130~140W
・ヘッドライトLOW(標準バルブ):100~115W
・バックランプ:50~55W
・ブレーキランプ:40~50W
・スモールランプ:35~40W
・フォグランプ:50~70W
・ルームランプ:10~15W
・ハザードランプ:50~100W
・エアコン風量1:70~95W
・エアコン風量2:110~120W
・エアコン風量3:145~160W
・エアコン風量MAX:210W
・パワーウィンドウ1ヵ所上昇:85~100W
・フロントワイパー:70~100W
・カーナビ:12~25W
・オーディオ:55~60W
・ETC:2.5W
・ドライブレコーダー:3.5W
■バッテリーの寿命を伸ばす、バッテリー上がりを起こさないためのひと工夫
■バッテリー上がりを起こさないためのひと工夫
・1ヵ月に1回など定期的にバッテリー液の状態をチェックすること。面倒くさい人はディーラーやGSなどで夏と冬にチェックしてもらう
・ヘッドランプやハザードランプ、ルームランプ、ブレーキランプなどのランプ類を点けっぱなしにしない
・エンジン始動時にエアコンやオーディオをオフにする。目的地に到着する少し前にエアコンを切る
・ちょい乗りが多いという人は週1あるいは2週に1回の割合で最低でも30分以上の走行、高速道路での走行をおススメする
・大出力のカーオーディオやナビ、ドライブレコーダーやスマホ充電を頻繁にする人などは大容量バッテリーに載せ換える
・バッテリーにサルフェーションの発生を抑えるパルス発生器を取り付ける(3000円前後~)
・長期間クルマに乗らない場合はバッテリーキルスイッチ(500円前後~)を取り付けて放電を防止しバッテリーを長持ちさせる
バッテリーから電力供給していると思われているが、基本的にはエンジン始動時に大電流を出力するだけで、アイドリングでも電力はオルタネーターから供給されている。
しかし、いくら発電量を増やしてもアイドリングでは限界があり、渋滞中にエアコン全開、ワイパーやヘッドライト、ブレーキランプなども点灯しっぱなしでは、バッテリーからも電力を供給することになり、蓄電量が減っていくし、サルフェーションを招くことにもある。夜間ならヘッドライトも、停車中にはスモールランプに切り替えたほうが、バッテリーにとっては負担が減る。
頭に入れてほしいのは、バッテリーを十分に充電するために必要なエンジンの回転数は2000~3000rpm。アイドリング時のエンジン回転数は1000rpm以下だから、エンジンがかかっていても、クルマを停めてアイドリング状態でいるときにはほとんど充電がされないこと。
またエアコンの使い方をひと工夫すること。エンジン始動時にエアコンやオーディオを消してエンジンをかけること。
そして目的地に到着する少し前にエアコン切っておくことだ。バッテリーは始動時(クランキング中)にたくさん電力を消費するが、エアコンやオーディオをつけているだけで負担増になるため、エンジンをかける時は、エアコンをオフにして純粋にエンジン始動だけに電気を使わせる。
また目的地に到着する少し前にエアコンをオフにするのは、バッテリー充電量を増やすことにつながる。オルタネーターで作られた電気の多くをバッテリー充電に回すことで、フル充電状態でエンジン停止することができるからだ。
エアコンのファンは全開にすると冷房能力が追い付かず冷風の温度が若干上昇してしまうこともある。1つでも風量を下げたほうが、消費電力を抑えられるし、冷風の温度が低くなるので、最適な状態に調整することだ。
それと暑い時間の渋滞はなるべく避けることだろう。渋滞は周囲のクルマから発せられる熱で周囲の気温が上昇してしまうだけでなく、車列の間の空気が停滞して、熱い空気が留まりやすい。それが相乗効果となってエンジンルーム内の温度をさらに高めてしまうし、暑いのでエアコンをフル稼働させる原因にもなる。
バッテリー液のレベルチェックを怠らないことも大事だ。これは冷却水やブレーキフルードの液量と同じく、月に1度以上はチェックしたい。気付いた時には減っていたとなると、トラブルの前兆を見過ごして、ダメージを大きくしてしまったり、一気に寿命を縮めてしまうことも起こり得る。
補水できるキャップ付きのバッテリーならバッテリー液のレベル(半透明なケースなら外側から、不透明ならキャップを開けて中の樹脂部分で見る)を見て、不足していれば精製水(バッテリー補充液としてカー用品店で販売されている)を継ぎ足してやる。
継ぎ足すと比重が落ちるので補充電が必要だ。MFバッテリーの場合は上面にインジケーターがあり、その色でバッテリーの状態を判断しよう。
バッテリー液が減り過ぎて極板の上端より低くなってしまうと、内部で火花が起きて水素ガスに引火して、バッテリーが爆発(バッテリーケースが割れる)する可能性もある。そうなるとエンジンルーム内やボンネット裏側は結構なダメージになるので、被害は甚大だ。
定期的に補充電するというのは、バッテリーのコンディションを維持するためには非常に効果的なことだ。それも前述のようにパルス充電器を選べば、充電のたびにバッテリーはリフレッシュされて長く使い続けることができる。
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