■時代は「燃費競争」から「燃費協調」へ
現在のコンパクトハイブリッドのWLTCモード燃費(2WD)は、ノートX:28.4km/L、フィットe:HEVホーム:28.6km/L、アクアハイブリッドZ:33.6km/L、ヤリスハイブリッドZ:35.4km/Lという具合だ。
上記ではノートとフィットは30km/L以下、トヨタのアクアとヤリスはそれ以上という差があり、ヤリスハイブリッドを試乗すると燃費の良さに驚く。ヤリスハイブリッドZの燃費数値は、ノートXに比べて25%優れ、数値上は燃料代を20%削減できる。
仮に1年間に1万kmを走る場合、WLTCモード燃費が実用燃費と考えれば、レギュラーガソリン価格が145円/Lとして、1年間の燃料代はノートXが5万1000円、ヤリスハイブリッドZは4万1000円だ。今は1年間に1万円を節約できる価値が、冷静に捉えられ、燃費数値へのこだわり方も適正になったといえるだろう。
それでもフィットのe:HEVホームと、1.3Lガソリンエンジンを搭載するホームでは、燃費の違いは当然に拡大する。1年間に1万kmを走る場合、e:HEVは5万円、ガソリンエンジンは7万2000円だ。2万2000円の差額で、この比率は環境性能とも合致する。
燃費を向上させる価値には、ユーザーの出費抑制と、環境性能の向上がある。今までは出費を抑える意識が優先されていたが、今後は環境性能が従来にも増して大切になる。「環境性能が向上すると燃料代と税金も安くなる」という状況から「環境性能の向上のために出費が増える」時代に変わる。
今はこの過渡期で、第1段階となる「燃費競争」が終了した。今後はいよいよ電動化の時代に入る。軽自動車では複数のメーカーが共通のハイブリッドシステムを低価格で装着するなど「燃費協調」の側面も見えてくる。
驚くような燃費数値は飛び出さないが、全般的に底上げが図られ、偏りなく優れた環境性能を達成できる時代に向かうだろう。
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