かたちは変わったが「魅せるデザイン」は健在
一部のスポーツカーやレーシングカーでは当たり前におこなっていたアンダーフロアのフラット化は、高速走行時のリフトフォース低減によって、走行安定性が高まる効果がある。
また、アンダーフロアの形状で最も重要なのが、リアフロア後端の処理だ。床面を流れてきた空気がクルマから剥がれる部分の形状で、空気抵抗(=燃費性能)は大きく変わる。
その重要な部分にあるサイレンサーやマフラーパイプが、気流を阻害しないよう「出来るだけ高さを上げたい」、さらには、「アンダーディフューザーの一部として利用したい」となったのが、今のバンパー埋め込み型のマフラーエンドとなった理由だ。
この手のデザインは、当初、スポーツカーや高級車から始まったが、徐々に乗用車のスポーツグレードや、スポーティな国産車へと広がりを見せている。その多くが、マフラーのテールエンド周辺をブラックに塗装し、マフラーエンドを目立たせるデザインを取っている。
ボディのヒップラインを持ち上げてスポーティに魅せ、シルバー色のテールエンドが「映える」ようにデザインされているのは、スポーツカー好きにとっては、ありのままを出していた昔と、マフラーテールエンドのデザインに対する価値観が変わっていないからであろう。
ちなみに、リアバンパーデザインとして、ダミーホールが施されたクルマもある。メルセデスAクラス、Cクラスの「AMGライン」などがそれにあたる。
ハイパワーな「AMG」ではそのホールを実用しているのだが、「AMGライン」では、実際のテールエンドは一本出しで、バンパーの下側から「にょきっ」と出ている。てっきりマフラーエンドだと思いこんでしまい、実情を知ったときはちょっと残念に思った。
マフラーを「隠す」デザインも多くなっている
プリウスやフィット、ノートといったハイブリッド車のほか、軽自動車でも、昨今はマフラーテールエンドが全く見えないように処理されているクルマが多い(クルマの下から除けばマフラーはちゃんとある)。
その理由はやはり、「環境にいいクルマ」というイメージを持たせるため。マフラーが目立つことで、「環境に悪い」というネガティブなイメージを持たれてしまうのを避けるためだ。
これらのクルマは、そもそも排気量が小さく、サイレンサーなどのサイズもコンパクトで済むため、床下にすっぽりと隠すことができてしまう。まるでEVやFCVかのように魅せることで、「低公害車」というイメージをつくりあげているのだ。
このマフラーテールエンドを隠すデザインが、「カッコ良いか悪いか」は個人の主観だが、環境性能が強く求められる時代において、この手のデザインが今後も続いていくことは、間違いないだろう。
コメント
コメントの使い方