■内気循環は冷房の効きを高めるがデメリットも
クルマのエアコンには、冷房や暖房が吹き出すダクトを切り替えるだけでなく、吹き出す空気の種類も選べる。それは外気を取り込んで空調した空気を送り込む外気導入と、車内の空気を取り込んで空調して送り出す内気循環の2種類で、車種によっては外気と内気をミックスした状況も作れる。
外気導入のメリットは温度調節した新鮮な空気をつねに取り込めることだ。しかし交通量の多い地点では、周囲のクルマの排気ガスが侵入してきてしまうなど、外気導入ならではのデメリットも存在する。
内気循環のメリットは、ある程度温度調整が済んだ状態であれば、室内の温度を維持しやすいことだ。外気温と室内温度の差が大きいほど、内気循環にした方が冷暖房の効率を高められる。
オートエアコンであれば、徐々に風量が下がっていく制御を実感しているだろうが、あれは設定温度に室内の気温が近付いたことから、冷房を弱めているのだ。
室内温度が設定温度に近づけば、強く冷房を続ける必要がなくなるので、エバポレーター(熱交換器)が空気を冷やす必要も少なくなり、風量も減らしていくのだ。つまり内気循環の方が冷房は効くし、燃費向上にもつながる。
しかし内気循環にもデメリットは存在する。それは室内の空気を循環させているため、乗員の呼気によって二酸化炭素の濃度が上昇してしまう。長時間、内気循環のままエアコンを使い続けてしまうと、酸欠状態になっていき、眠気や頭痛など、ドライバーの運転に対する集中力を阻害する恐れがあるのだ。
室内空間や乗員数にもよるが、内気循環を30分続けたら5分は外気導入にするなど、一定間隔で換気をすることを心がけることだ。
高級車のオートエアコンは、PM2.5センサーなどで外気が汚れているのを感知すると自動的に内気循環に切り替わり、一定時間後に再び外気導入に戻るという外気導入が基本の制御になっている。
■アイドリングストップと冷房はどう使い分けるか
アイドリングストップ車でもエアコンの使い始めなど、空調が大きく働いている時には信号待ちでもアイドリングストップが働かないこともあるが、通常は信号待ちでアイドリングストップが効いてしまうとエアコンも効かなくなってしまうことが多い。
真夏であれば、エンジンの再始動とエアコン風量を増大させるためのブロアファンの高回転利用を繰り返すのは、電力消費が大きく、オルタネータの負担になって燃費にも影響するし、バッテリーの劣化も進めてしまう。
そもそも燃費向上のための機構だが、以前のカタログ燃費であるJC08モードでは効果が認められたものの、現行のWLTCモードでのアイドリングストップ機構ありとなしの燃費は、表に一例をあげたが、市街地でのアルファードの燃費差0.9km/Lをどうみるか、その効果は微妙。
つまり実燃費での効果も限られたものであり、バッテリーの寿命が縮まることを考えるとトータルでエコロジーではないし、あまりエコノミーでもないのだ。
真夏は基本的にアイドリングストップをキャンセルすべきと考えよう。車種によってキャンセラーを装着できるなら、装着してしまってもいいのではないだろうか。
エアコンフィルターは、室内に導入する外気の微細なゴミをろ過してくれるだけでなく、エバポレーターの汚れもかなり防いでくれるから、エアコンダクトからの悪臭は最近はほとんど聞かれなくなった。
一方でエアコンフィルターを定期的に交換しないとエアコンの風量低下につながり、冷房の効率が低下してしまう。ということは燃費にも悪影響を与える(ファンの電力消費が増える)ので、フィルターは定期的に(車種によって異なる)交換しよう。
またエアコンフィルターには単なる不織布を織っただけのタイプだけでなく、脱臭や抗菌効果のあるプレミアムなフィルターも存在する。コロナ禍の今は、抗菌効果のあるフィルターを使った方が安心だ。
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