フル電動化が実現したらクルマの個性や商品差別化はどうなる? トラックメーカー4社に聞いてみました


■電動化をはじめ革新的なさまざまな技術で製品を差別化し続ける/三菱ふそう

三菱ふそうの世界初の量産型小型電気トラック「eキャンターは、プロペラシャフトを介して駆動。また床下はバッテリーや冷却装置のスペースで埋まっており、レイアウト上の制約が伴なう。写真は給電中のひとコマ

 電動化の過渡期や実現直後の発展段階においては、車両としての個性よりも、航続距離、充電時間、積載量、価格の面でお客様が納得する商品を提供できるかが、商品の価値に大きく影響すると予想しています。

 バッテリー、モーター、インバーター等の電動システムの技術だけではなく、エネルギー回生の最適化、バッテリー搭載スペースの確保、補器類の電動化・効率化など、メーカー間で差が出る要素は多く、当面の間は多様なコンセプトの製品が世の中に送り出されるでしょう。

 短期的には、先進安全運転支援機能が業界と製品の両方を形成する上で重要な役割を果たすでしょう。長期的には、自動運転、代替燃料技術、トラックと合わせて提供される各種サービスを中心に、製品は次の段階へ進化するでしょう。これは、車両エンジニアリングの基盤が変化し始める時になるでしょう。

ホイルールベース間とフレーム内にバッテリーパック6基を搭載するeキャンター。近くお披露目されるであろう次期eキャンターはフレーム内にすべてバッテリーが収まると言われており、架装性の自由度も広がりそうだ

 現時点の電動トラックはあくまでディーゼル車をベースとした車両がメインですが、大きくて重いバッテリーを現在のディーゼルトラックのラダーフレーム回りに搭載するには大きなレイアウト上の制約を伴ないます。

 将来的には各社各々で考える電気トラックに特化した最適なパッケージ、レイアウトの車両開発(例えばEV専用プラットフォーム)を行ない、商品の個性・差別化がなされるのではないかと考えます。また商品のみならず電動トラックをとりまく各種サービスでの差別化も図られるでしょう。

 また、現在トラックが迎えている変化が、電動化だけではないことも忘れてはいけません。先進安全装置や運転支援装置の搭載も進んでおります。

 コネクティビティや自動運転の実現により物流ビジネスそのものにも大きな変化が起きれば、トラックに求められる形や機能も大きく変わる可能性があります。車両の個性や差別化は、これらの要素も含めて今よりも大きな規模で行なわれていくと考えます。

 車両の大小や用途の違いによって電動化のメリットや技術的な課題が異なってくるのはご指摘の通りですが、カーボンニュートラルを実現するためには電動化そのものを避けることはできません。

 差が出るのは電力を車両に供給・貯蔵する仕組みです。こちらは多様化し過ぎると社会やお客様に迷惑が掛かりますので、エネルギー供給形態やインフラの整備も含め、ある程度足並みを揃えて最適なソリューションを提供していく必要があると考えます。

 私たち三菱ふそうは、お客様のビジネスを実行し、成長させ続けるために、お客様のニーズを最優先に対応しています。安全性、快適性、効率性を向上する革新的な技術で製品を差別化し続けます。また、ダウンストリーム製品も改善するために、顧客体験の全体にも焦点を置いて開発しています。

 最後にUDトラックスの回答です。フル電動のEV、すなわちBEVではバッテリーの搭載方法や配置がキモになると思いますが、そりシャシーレイアウトに対する見解を開陳しています。

■当面は現行のシャシーレイアウトを踏襲しフル電動化に取り組む/UDトラックス

UDトラックスが東京モーターショー2019で披露した「雷神」。ただし、フル電動ではなく、ボルボのハイブリッド用バスのコンポーネントを活用した大型ハイブリッドトラックだ。コストが高くなる専用設計より、極力ユーザーの懐が痛まないよう「流用」するのも一つの考え方だ

 現行の配置方法が電動化に向けた取り組みの起点になると考えています。これまで、トラックの基本構造や技術に関して重要な決定が下された際、現行トラックのポテンシャルを最大限に活用してきました。

 将来的には、コンポーネントがより最適に配置されるなど、配置方法が大きく変わる時がくると思っています。たとえば、電動アクスルや、よりコンパクトなバッテリーパッケージの搭載が配置変更を促すと思います。

 こうした状況において、明確なニーズがあり、必要性があるならば、配置を変えますが、そうでなければ、現行のトラックを最大限活用していきます。

 結びとして、多賀まりお氏に今回の回答をまとめてワンポイントで解説してもらいましょう。

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