海外でバカ売れの日本車が日本で売れない決定的理由

海外でバカ売れの日本車が日本で売れない決定的理由

 21世紀の訪れとともに日本車のグローバル化は一挙に加速。従来も海外で販売される日本車は存在したが、それでも日本市場では国内をメインに考えられた車種が多数であった。それが令和の今や、グローバルで販売される日本車が大半で、国内専用車は極めて珍しい存在に。

 いっぽうで、主に米国をメインマーケットとする海外向けの日本車は、海外では売れても日本では売れないという、ねじれ現象が目立つようになってきた。なぜ海外向けの日本車は日本でさっぱり売れないのか? 背景にはサイズの大きさだけではない様々な事情が絡み合っているといえそうだ。

文/渡辺陽一郎、写真/HONDA、TOYOTA、NISSAN、MAZDA、SUBARU

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■軽自動車とトヨタが圧倒する国内市場

国内と海外の両方で売られるクルマにはコンパクトな車種が目立つ。アルファードは今は海外でも販売されるが、商品開発の対象は国内市場を基本にしている
国内と海外の両方で売られるクルマにはコンパクトな車種が目立つ。アルファードは今は海外でも販売されるが、商品開発の対象は国内市場を基本にしている

 国内の新車販売データを見ると、販売ランキングの上位に位置するのは、ホンダ N-BOX、スズキ スペーシア、ダイハツ タント、スズキ ハスラーなどの軽自動車と、ヤリス、ヤリスクロス、ルーミーといったコンパクトな車種を中心とするトヨタ車だ。

 2021年1~7月に国内で新車として売られたクルマのうち、軽自動車が38%を占めている。また、同じ期間に国内で新車として売られた登録車を見ると、トヨタ車(レクサスを含む)の比率が53%に達した。軽自動車が一番の売れ筋カテゴリーになり、小型/普通車では、トヨタが圧倒的なシェアを誇る。

 その結果、2021年1~7月における乗用車メーカーの国内新車販売台数ランキングは、1位:トヨタ、2位:スズキ:3位:ダイハツ、4位:ホンダ、5位:日産、6位:マツダ、7位:スバル、8位:三菱になる。

 注目すべきは、2位がスズキ、3位はダイハツという順位だ。今の国内新車市場が、軽自動車を中心に成り立っていることを示している。

 そして軽自動車は基本的に国内向けの商品だから、この販売比率が増えると、海外と国内の両方で売られる登録車は相対的に減ってしまう。

 しかも国内と海外の両方で売られるクルマには、前述の通りコンパクトな車種が目立つ。アルファードはLサイズで今は海外でも販売されるが、ミニバンだから商品開発の対象は国内市場を基本にしている。つまり、国内販売が好調な車種は、そのすべてが国内市場を意識した商品だ。

 この点についてメーカーの開発者は次のように述べた。

 「日本では軽自動車の販売比率が高く、特殊な市場とされている。売れ筋車種も海外とは大きく異なるが、唯一共通するのはコンパクトカーだ。このカテゴリーは、海外でも売られるが、世界生産台数に占める国内比率が高い」

 それなら逆のクルマにはどのようなことがいえるのか。日本と北米を始めとする海外の両市場で売られていながら、日本国内では低迷する車種も多い。

次ページは : ■日米で売られる日本車が低迷する複数の理由

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