海外でバカ売れの日本車が日本で売れない決定的理由

■日本のユーザーに向き合っていない車種は売れない

日本では一旦絶版となっていたRAV4は現行型が2019年4月に発売され復活。翌5月には6817台でSUV販売トップに躍り出るなど望外の人気を集めた
日本では一旦絶版となっていたRAV4は現行型が2019年4月に発売され復活。翌5月には6817台でSUV販売トップに躍り出るなど望外の人気を集めた

 以上のように、日本でクルマを堅調に売るには、日本のユーザーに向き合って、デザインからさまざまな機能まで国内向けに造り込むことが不可欠だ。

 そして日本のユーザーに向き合っていない車種は、メーカーも売れないことが分かっているから、販売促進にも力が入らない。売れ行きはますます伸び悩んでしまう。

 唯一の例外はRAV4だ。現行型は北米などの海外向けに開発され、国内市場はまったく視野に入っていなかったが、売れ行きは堅調だ。

 RAV4は前輪駆動をベースにしながら、外観は悪路向けのSUVに似て野性的に仕上げ、アドベンチャーには後輪左右の駆動力配分を積極的に変化させる機能も備わる。この悪路向けの商品特徴が、ハリアーやC-HRといった都会的な車種が膨大に増えた日本のSUV市場において、原点回帰の魅力を放っている。

 いい換えれば最近のSUV市場は、コンパクトカー市場と同様、日本と海外の指向性が近付いている。そのためにRAV4は、SUVなのに、コンパクトカーに似て海外と国内の両市場で堅調に売れている。

 このRAV4の成功も、トヨタの凄さかもしれないが、あくまでも例外だ。日本のユーザーに向き合わないクルマに、国内市場における成功はない。

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