対象は「新車」だけ! 10月1日からのナンバープレート新基準の詳細は?

新基準適用開始の延長はホンダNBOXとヤマハトリッカー救済のため?

ヤマハトリッカー
ヤマハトリッカー

 ところで、当初、新基準適用の開始時期は令和3年4月1日~を予定していたのだが、半年間延長されて10月1日になった経緯がある。今年3月9日に国交省が以下を理由に延長を発表した。

『新型コロナウイルスの感染拡大により、国内の自動車購入需要が停滞したこと等を踏まえ、この猶予期間を延長』

 つまり、コロナ禍によって新車の売れ行きが停滞し新基準に対応できていない一部の車種の販売や登録が3月末までに完了しない恐れがあるから、という理由であり、「半年間延長するからその間に新基準未対応の車両の販売(登録・届出等)を終わらせなさいよ」という救済措置である。

 新基準に対応できていなかった車種について国交省自動車局自動車情報課に確認したところ、以下の2車種であったこととそれぞれの理由を教えてくれた。

ホンダ N-BOX(2020年12月のマイナーチェンジ前のモデル)
※MC前のフロントナンバープレートが左右方向の角度において新基準に対応できていない。

ヤマハ トリッカー(2020年に生産終了を発表)
※ナンバー上下角度の基準範囲である「上向き40度」を超えている。

 トリッカーはさておき、N-BOXに関しては肉眼ではほぼ分からない程度の傾きである。この程度で登録できなくなる?ナンバーが見にくいか?とかなり疑問に感じたが、国交省いわく、「右側には1度たりとも傾いてはだめです。新基準を満たしません」とのことであった。

マイチェン前のN-BOX。ものすごくわかりづらいが、真横から見るとわずかに右(外側)に向いているため、新基準不適合になるという
マイチェン前のN-BOX。ものすごくわかりづらいが、真横から見るとわずかに右(外側)に向いているため、新基準不適合になるという

 なお、2020年12月24日のMC後のNBOXは当然だが全車新基準に対応している。

使用過程車へのナンバー表示基準は実は平成28年(2016年)4月1日から始まっていた!

 それでは、すでにナンバーがついているクルマに関しては何の規制もないのか? というともちろんそんなことはない。実は平成28年4月1日から「カバー」「回転」「被覆」「折り返し」の4つの行為が禁止されている。

「こういうナンバープレートはダメ」という例
「こういうナンバープレートはダメ」という例

 これらの行為は「ナンバープレートの文字が瞬時に明確に読み取れない、読みにくくする」ためNGとなる。

 使用過程車(令和3年9月30日までにナンバーがついている車両)に対する表示基準は10月1日からの新基準適用後も、平成28年4月~の基準が適用される。

 この基準を見ればわかる通り、新基準が角度やサイズなどを細かく指定されているのに対して、使用過程車に対するナンバー表示基準はかなりざっくりしている。折り返しの角度やフレームの厚さや幅なども数値の指定はない。

 では、具体的にナンバープレートに対してどのような行為が禁止されているのか? 詳しく解説してみたい。

●カバー 無色透明であっても装着禁止。速度違反逃れ(オービス逃れ)はもちろん、プライバシー保護という理由であっても、どんなタイプのカバーも禁止されている。フィルムタイプもダメ。

 以下の画像は大手通販サイトで販売されていた透明なフィルム(カバー)だが、現在は販売終了となっている。速度違反の取り締まりを逃れる目的で、完全に違法。

こういう透明のフィルムタイプも、現行の法律では使用不可
こういう透明のフィルムタイプも、現行の法律では使用不可

●被覆(ひふく) 意外と良く見かけるのがこちらの「被覆」。ナンバープレートのフレーム(装飾部分)などがナンバーの文字に少しでも掛かっているとNG。シールやステッカーの貼り付けも同様に禁止されている。また、ナンバーが泥などで汚れて文字が読めない場合も「被覆」に相当するので注意。ナンバープレートは常にきれいにしておくべし。

額縁のようにプレートを装飾する「枠」。すこしでも数字にかかっていたら使用不可となる。これはアメリカ製のナンバープレートカバーのためか、サイズが小さく、数字や文字が隠れてしまっている
額縁のようにプレートを装飾する「枠」。すこしでも数字にかかっていたら使用不可となる。これはアメリカ製のナンバープレートカバーのためか、サイズが小さく、数字や文字が隠れてしまっている

●回転 輸入バイクなどによくみられる「サイドナンバー」などのカスタムも回転にあたるためNG。日本では二輪も四輪も回転装着は全面的に禁止されている。

●折り返し バイクや原付に多い違法行為だが、クルマでも後部ナンバーを意図的に折り曲げているのをたまに見かける。平成28年基準では角度についての基準はないため、「判読しづらいのはダメ」ということになるが取締りを行う警察官や検査員の判断次第といったところだ。

 なお、原付など道路運送車両法に抵触しなくても折り返しは「公安委員会遵守事項違反」に問われる可能性もある。(加点はなく反則金のみ)

 さらに、ナンバー判読をしづらくするなどの違法性が高い目的で、フロントナンバーを斜め下向きに取り付けることや、フロントナンバーを外してダッシュボードに置くなどの行為も現在は厳禁(三輪自動車、被牽けん引自動車又は国土交通大臣の指定する大型特殊自動車にあつては、前面の自動車登録番号標を省略することができる)。

 ナンバープレート表示に関する違反は想像以上に厳しい罰が待っている。道路運送車両法第19条(自動車登録番号標の表示の義務)、同73条(車両番号標の表示の義務等)を根拠として50万円以下の罰金(道路運送車両法 第109条第1項)が課せられる可能性もあり、ナンバーの文字を改ざんしたり偽造ナンバーを使ったりすると最高で3年以下の懲役、若しくは100万円以下の罰金(道路運送車両法 第106条)となる。

【画像ギャラリー】「こういうのがダメ!!」画像で解説、ナンバープレート新基準

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