車に乗っていてもNG? 駐車禁止の「誤認識」が横行する理由

 新型コロナウィルス感染拡大防止のため、緊急事態宣言が発動されてかなりの時間が経過しているが、駐車禁止(以下駐禁)の取り締まりについてにわかに注目が高まっている。

 緊急事態宣言を受け、海や観光地では公営の駐車場などが軒並み閉鎖されている。その結果、路上に駐車または停車するクルマが後を絶たない。

 路上駐車しているクルマには乗員を残しているから、駐禁の取り締まり対象にならない、とドヤ顔で言い放っている人もいるが、本当にそうなのか? 答はノーだ。

 駐禁の取り締まりにまつわる誤った認識とそれが横行する理由について考察していく。

文:ベストカーWeb編集部/写真:ベストカーWeb編集部、Adobe Stock

【画像ギャラリー】駐車禁止に関する知っておきたい3つの重要情報


人が乗っていても乗っていなくても違反は違反

「人が乗っていれば駐禁で取り締まられない」という見解を持っている人は多いではないでしょうか。

 大型スーパーの駐車場が混んでいるため、ドライバーが乗車した状態で家族の戻りを待っている車両、駅などで人を待っている車両、子ども車内に残して駐車して買い物などなど、ドライバーまた誰かが車内に残って駐車している車両を多く見かけます。

ショッピングなどでドライバーだけ車内に残っていて待機している車両も目にするが、人が乗っていても駐車禁止違反の対象となる

 駐停車禁止の場所にクルマを止めることはできませんが、駐車禁止の場所については、人が乗っていれば駐車ではない、という認識の人もいるようです。

駐車禁止の場所は、標識で指定されているところのほか、
・交差点、横断歩道
・自転車通行帯
・トンネル内
・坂の頂上、勾配のきつい坂
・踏切の10m以内
・運行時間中のバス停から10m以内
・交差点、路上のカーブから5m以内
・駐車場やクルマの出入り口から3m以内
・道路工事の現場から5m以内
・火災報知器から1m以内
・防火水槽や消防器具置き場、それらの出入り口を含め5m以内

 という規定があります。標識がないから路上駐車してOKではないので要注意です。

標識のほか警察署の名前入りの看板が設置されていることもある。看板設置場所は特に取り締まりが強化されている点でもあるので要注意

 道路交通法第9節、第45条には明記されている駐車・停車の規定は以下のとおりです。

「車両は、道路標識等により駐車が禁止されている道路の部分、及び次に掲げるその他の道路の部分においては、駐車してはならない。ただし、公安委員会の定めるところにより警察署長の許可を受けたときは、この限りでない」。

 ここにはクルマに人が乗っている、いないについてはまったく明記されていません。つまり、人間の有無にかかわらず、駐車を禁止されている場所では駐車違反の対象となるわけです。となれば、当然取り締まりの対象になるわけです。

駐車監視員は放置駐車のみ権限が与えられている

 では、なぜ人が乗っていれば駐禁違反で取り締まられない、という認識が横行するようになったのでしょうか?

 これは、2004年6月の道路交通法改正により『放置駐車違反金制度』が制定されたことと関係があります(2006年6月施行)。

 それ以前は駐禁違反は取り締まりの権限が与えられていたのは警察だけだったのですが、この時に民間委託され、『駐車監視員』がこの業務を着手することになったのです。

2006年から実働を開始した駐車監視員は、放置車両にのみ権限が与えられている。取り締まりは行わず、車両を確認後、警察署長に連絡する(Caito-stock.adobe.com)

 ただし駐車監視員に権限が与えられているのは、駐車車両でも人が乗っていない『放置駐車車両』のみと限定されています。

 ちなみに、駐車監視員は放置駐車車両をチェックして(確認標章ステッカーを貼る)、警察署長に連絡するのが業務で、取り締まりをしているわけではありません。

 駐車監視員は人が乗っているクルマについては、ステッカーの貼り付けはおろか、移動の勧告すらもできません。つまり、誰かが乗っていていれば放置車両ではないため、取り締まりの対象にもならないのです。

 このことが、人が乗っていれば駐禁の取り締まりの対象にならない、と多くの人が認識してしまう元凶と言えるでしょう。

店舗などへの荷物の積み下ろしは、5分以内なら停車とされるが、それを超えると駐車となり、駐車違反の対象となる。クルマが故障した場合も同様だ

警察に取り締まられるとダブルパンチ

 ここまでを読んで、現在の駐車禁止の取り締まりのほとんどは駐車監視員によるものだから、人が乗っていれば取り締まられない、というのもまったくのデマではない、と考える人もいるかもしれません。

 しかし、放置駐車違反金制度が施行された後でも、警察に取り締まりの権限があるのです。そのことを忘れていると痛い目に遭います。

駐車禁止の場所にクルマを止めている場合は、乗員がいれば駐車禁止違反、乗員がいなくて放置車両となれば放置駐車違反となり、払うお金も違う

 ちなみに、交通監視員の報告による放置駐車違反の場合、後日送られてくる放置駐車違反金の納付書に従って反則金を振り込めばそれで終わります(出頭した場合は、反則金に加えて違反点数も加算されることになります)。

 しかし警察に取り締まられた場合は、違反キップを切られ、放置駐車違反金ではなく反則金となり、加えて違反点数も加算されます。

 巡回中のパトカーや通報により警察が駆けつけた時に即取り締まられるというケースよりも、警告しても聞き入れられない場合にキップを切られる、というケースが多いようですが、即キップというケースは皆無ではありません。

 人が乗っているから大丈夫と安心しているとしっぺ返しを食らいます。不公平を感じるかもしれませんが、違反している以上、文句は言えません。

 最後に使用制限命令について触れておきます。

 放置駐車違反をすると、車両のデータが記録されます。違反が行われた日から初回を含み6か月間に3回放置駐車違反金の納付命令を受けた場合、普通自動車では2カ月間の使用制限命令が出されることも覚えておく必要があります。

 例外はあるにせよ、日本の道路は基本的に駐停車禁止または駐車禁止となっているという認識を持っておいたほうが安全です。

★    ★    ★

 やむを得ない理由でクルマを止める場合があるとは思いますが、駐車禁止は周囲の交通に悪影響を与えかねない違反行為なので、正しい知識を身につけて、正しい場所にクルマを駐車させてほしいと願います。

1990年代は輸入車は駐車禁止違反で取り締まられにくい、飲み残しのドリンクを置いていくと取り締まられないという情報も流れていたが、今ではまったく関係ない

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