カローラという大きなスケールメリット
乗り心地やスタイリングなど、C-HRより万人受けする仕様に仕上げているのはカローラというブランドイメージに沿ったもので、セダン離れが進む現在、これからのカローラを支える稼ぎ頭となるべく仕立てられている。
つまり販売台数も多く見込めることから、1台あたりの利益を減らしても数を売って稼ごうという戦略が成り立つ。ここにも価格を下げられる源泉があるのだ。
トヨタには、よりボディサイズの小さいSUVモデルとしてヤリスクロスやライズがあるが、ボディサイズや排気量は違っても、安全装備などを考慮すれば価格差は10万円を切ってしまう。
カローラクロスの「GX」とヤリスクロスの「X」では、後者のほうが装備が充実している部分もあるが、車格の違いや快適性を考えればカローラクロスが圧倒的に有利だ。
つまりカローラクロスの商品力は、ともすれば自社のコンパクトSUVともバッティングしそうな勢いなのだ。実際、すでに年内納車の生産分は完売という状態で、ハイブリッドは半年待ちになっているほど。
「G」以下の低価格グレードは、「小さいSUVではなく手頃なSUVが欲しい」と思っているヒトには魅力的に映るだろう。こうした問題についてのトヨタ広報部の回答は以下の通りだ。
「ボディサイズの違い(ヤリスクロス:Bセグメント/カローラクロス:Cセグメント)や、それに関連して室内のユーティリティ・取り回しの面でもそれぞれに違いがあることから、お客様に合ったお車を選んでいただけるよう、ラインナップを構成しております」
最安199万円グレードを選ぶユーザーは少なくない
199.9万円の「GX」は、所謂カタログモデルじゃないか、と思っているヒトもいるだろう。しかしシートと若干の装備を省くことで低価格を実現した、このグレードを選んでいるユーザーは決して少なくないようだ。
トヨタによれば、9月時点のグレードごとの販売構成比はガソリン車で、Z:S:G+G“X”=7:1:2というもの。「GX」グレード単独の数字こそ出されていないが最上級グレードの「Z」が圧倒的だ。あと15万円出せばハイブリッドの「G」にも手が届くが、使い方を考えてガソリン車で装備が充実した「Z」を選んでいる人が多いらしい。
ちなみにハイブリッド車ではZ:S:G=9:0.5:0.5という販売構成比となっているらしい。どちらのタイプも「S」は、発売後半年間KINTOのみの扱いとなっているから、KINTOの評判も上々(その他のグレードにもKINTOユーザーはいるので)のようだ。
充実した仕様を選んで総額300万円以上のカローラクロスをオーダーしているユーザーも多いが、それはリーズナブルな価格をフックにして集客をしている効果も大きい。開発から販売まで実に綿密な戦略で、このカローラクロスは作り上げられていることが窺い知れるのだ。
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