走行性能/WLTCモード燃費比較
次は走りを比べる。加速性能とエンジンノイズの1位はヴェゼルだ。滑らかで加速力に余裕があり、静粛性も優れている。
2位と3位は引き分けで、カローラクロスとキックスだ。十分な動力性能が確保されてノイズも抑えている。4位はヤリスクロス。動力性能は十分だが、直列3気筒エンジンがベースだから、登坂路などでアクセルペダルを踏み込むとノイズが大きくなりやすい。
走行安定性と乗り心地のバランスは、カローラクロスとヴェゼルがほぼ引き分けで1位になる。ただしカローラクロスの場合、買い得グレードになる2WD・Zは、リヤサスペンションが車軸式でタイヤサイズは18インチだから乗り心地が下がる。
その点で4WDは、リヤサスペンションが独立式になって走行安定性と乗り心地が両方ともに向上する。またグレードが中級のSに下がると、タイヤが17インチに変わるから、操舵感は鈍めだが乗り心地はむしろ最上級のZよりも快適になる。従って優れた条件が重なる4WD・Sの乗り心地は、ヴェゼルを上まわる。
走行安定性と乗り心地の3位はキックスで、低速域の乗り心地が少し硬い。4位も乗り心地が気になるヤリスクロスだ。
WLTCモード燃費は、最も優れているのがヤリスクロスハイブリッドZで27.8km/Lになる。2位はカローラクロスハイブリッドZで26.2km/Lだ。エンジンの排気量はヤリスクロスが1.5L、カローラクロスは1.8Lに拡大するが、燃費数値は6%しか変わらない。3位はヴェゼルe:HEV・Zで24.8km/L、4位はキックスXの21.6km/Lとなる。
安全面を中心としたメカニズムや装備と価格のバランスは、各車とも横並びに近い。コンパクトSUVは人気のカテゴリーとあって、競争も激しく、価格の割安感が拮抗するからだ。
総合的1位はヴェゼル!! 話題のカローラクロスは何位?
以上の比較内容に装備も加えて価格の割安感を判断すると、総合的な1位はヴェゼルe:HEV・Zだ。装備については、後方の並走車両などを検知するブラインドスポットインフォメーション、リヤゲートの電動開閉機能なども標準装着する。内装は上質で、後席も広く、シートアレンジも多彩だ。その上で価格を289万8500円に抑えた。
2位はカローラクロスハイブリッドZだ。ブラインドスポットモニターはオプションだが、リヤゲートの電動開閉機能、7インチのディスプレイオーディオ、専用通信機も標準装着される。後席にも相応の広さがあり、荷室長はタップリと確保した。走行安定性と乗り心地も満足できる。燃費も良好だ。価格は299万円だから、ヴェゼルe:HEV・Zよりも少し高いが、買い得度はかなり近い水準になる。
3位はキックスX。運転支援機能のプロパイロットは、ノートやノートオーラではオプション設定だが、キックスXは全車に標準装着した。特に目立つ装備はないが、価格は275万9900円と割安だ。実用重視のユーザーに適している。
4位はヤリスクロスハイブリッドZだ。価格は258万4000円だから、カローラクロスハイブリッドZに比べて40万6000円安いが、リヤゲートの電動開閉機能は標準装着されず7万7000円のオプションになる。カローラクロスハイブリッドZでは、シート生地に本革が使われることも考えると、ヤリスクロスに比べて約14万円は内容が充実する。そうなると実質差額は約26万円に縮まるわけだ。
つまりヤリスクロスに約26万円を加えると、ボディが拡大されて、後席と荷室の広いカローラクロスが手に入る。走行安定性、乗り心地、静粛性などカローラクロスが上まわるから買い得感も強い。
コンパクトSUVを買う時は、販売店の試乗車で上記の4車を乗り比べて、選ぶ車種を判断すると良いだろう。
総合順位
1位 ヴェゼル
2位 カローラクロス
3位 キックス
4位 ヤリスクロス
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