ホンダがオンラインストア『Honda ON』をスタート!! ネット通販で自動車は売れるのか!?


 今、通販が絶好調である。コロナ禍による巣ごもり需要によって家電や食品などの通信販売が好調で、2020年の売り上げは10兆円を超えたという。

 そして通販の波は自動車界にもやってきている。ホンダは本格的なオンラインストア「Honda ON」をスタートさせると発表した。自動車の通販とはどのようなものだろうか?

文/小林敦志
写真/HONDA、TOYOTA、AdobeStock

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■国内メーカー初!! ホンダがオンラインストアを開設!!

オンラインストア『Honda on』は、まずはホンダサブスクリプションサービスの申し込みのみとなる。今後は見積もりや契約までが可能となる予定だ

 ホンダは2021年10月4日、本格的なオンラインストアとして、「Honda On」のスタートを発表した。

 現時点では、個人向けカーリースサービスとなる、“ホンダサブスクリプションサービス”の申し込みのみとなり、それに付随するサービスもスマホから申し込めるようになっているが、今後はスマホから新車の購入を検討する際の見積りだけではなく、直接契約も結べることになる予定とのことだ。

 なお、サービス対象地域は現状では東京地区のみとなっている。

 スマホでは、申し込みフォームに入力することで、現時点ではホンダサブスクリプションサービスの契約申し込みが完結する。そして、申込者が希望するホンダ正規販売ディーラーとなる、“ホンダカーズ店”での納車及び、その後のメンテナンスを受けることができる。

 国内の新車販売市場は少子高齢化による人口減少社会などの影響で縮小の一途をたどっている。景気の浮き沈みに関係なく縮小傾向にほとんど歯止めがかからないので状況は深刻。さらに、今後の新車販売市場を支える若年層はクルマへの興味が極端に薄れており、運転免許すら持っていない若年層も目立つ。

 そもそも、日本だけではないが近年の新車価格は割高イメージが強く、とくに収入アップがなかなか実現しない日本では、若者の収入が目立って伸び悩んでいる。

 また年金などの将来への不安も高まる一方で、任意保険料など維持費も相当かかるので、とてもではないが、若い世代が新車を買って乗り回せる状況ではないとの声もよく聞く。バブル経済を“バブル入社組”として時代を謳歌した、いまの50歳台半ばから60歳台とて、若いころはいまほどではないにしろ、新車購入はかなりの負担であった。

 お気に入りの大型スポーツカーをフルローンで購入し、風呂もないようなアパートに住み、食事はほとんどカップラーメンで済ませるといったような、“新車ファースト”な生活を送っているという話は当時よく聞いたが、いまの若い世代なら完全に拒絶されるだろうし、それを令和の時代に真似しろともいうつもりはないことはここに断っておく。

 筆者は自分の仕事柄もあり、甥っ子たちが運転免許を取得する際に取得費用の一部負担をしているのだが、せっかく運転免許を取得しても「自分のクルマが欲しい」どころか、家族所有のクルマすら積極的に運転しようとしない。

 本人たちに確認したわけではないが、「就活に役立つかもしれない」といって取得する資格と同じノリで運転免許を捉えているように見える。

■対面販売ではスマホ世代にクルマは売れない!?

対面での会話よりもスマホを使ったメッセージアプリなどでのやりとりを好む世代も増えている。スマホは販促ツールとしても有効だ(onlyyouqj@AdobeStock)

 そのような感覚の若年層は“スマホ世代”でもあり、現代社会もかなりのことはスマホで済ますことが可能となっている。またスマホは基本的に携帯電話であるが、とくに若者の間では通話はほとんどせずに、友人たちとのコミュニケーションなどはSNSなどでこなすのも特徴的。

 そのため、友だちなど知ったなかの相手なら問題はないようだが、歳の離れた他人(とくにオジサン?)などと話すのも苦手とされている。

 「仕事関係先の担当者が若い女性となりました。電話で問い合わせをしたら『折り返し連絡します』とのことなので、待っていたらメールで返事がきました。“ああ、若い世代は得意先とはいえ、他人のオジさんとは話すのが苦手なんだな”と妙に納得しました」とは業界事情通。

 若い世代すべてが、他人との積極的なリアルワールドでのコミュニケーションについて否定的であるわけではなく、その“格差”が大きくなっている。そうなると、いまのようにアナログ色の強い、“店頭でセールスマンと膝を突き合わせないと新車が買えない”という売り方だけでは、なかなか新車は売れない。

 Honda ONのような完全非接触で契約までオンラインで完結するサービスの充実も用意するに越したことはないし、今後の新車販売では重要な販売促進ツールとなる可能性が高いのは間違いない。

 販売現場では、2020年春の新型コロナウイルス感染拡大初期に、接触機会を減らすので感染拡大防止にもつながるとして、新車販売の世界では“オンライン商談”が注目された。Web会議システムなどを活用し、オンライン上で双方向にて商談を行うというものになる。

■システムは用意されているが現場の実情は?

オンライン上でのシステムが用意されていても、実際の販売現場ではうまく活用されていないことも多い(Tomasz Zajda@AdobeStock)

 しかし、最近ディーラーをまわって“その後”を聞いてみると、「いまだにオンラインで販売したことがない」ならまだしも、「いまはやっていません」という答えも複数のディーラーから返ってきた。

 あるメーカー系正規ディーラーのセールスマンは、「オンライン商談といっても、そもそも新規(初めて新車を買う)で新車購入されるお客様はほとんどおりません。そのため、下取り車があって当たり前なので、まず下取り査定をしないと商談が進みません。

 下取り査定はその作業の流れもあり、店頭で行うのが原則ですが、ごくまれにお客様の自宅など、指定先に出向き行うこともありますが、オンライン上では実車を画面上でしか見ることができないので、かなり厳しいです。また商談が進んでくると値引きアップなどの決裁を店長に仰がなければなりません。

 そうなると、上司決裁をもらう間などは、画面からフレームアウトしますし、その時間は結構長引くでしょう。そのためオンライン商談を希望されるお客様へ事情を説明し、『店頭にいらしたほうが効率的に進みますよ』と店頭に呼び込むスタッフもおります。

 ショールームは天井も高く広いですし、業界団体のガイドラインに沿った感染拡大予防策を徹底しておりますとご説明すれば、たいていはご納得していただけます」とのこと。

 また新車販売の現場では、“鉄は熱いうちに打て”という言葉がある。お客が“買う気”になっているうちに、“値引きアップなどで一気に攻め込んで受注につなげろ”という意味がこめられている。

 しかし、オンライン商談は事前にオンライン上で、日時を指定して申し込みをするケースがほとんど。

 お客さんとしては申し込みをしている時は、結構買う気が高まっているのだが、後日、いざオンライン商談となると“鉄は冷めてしまっている”というテンションとなっていることも多く、店頭より成約率が低いとするセールスマンもいた。

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