ホンダがオンラインストア『Honda ON』をスタート!! ネット通販で自動車は売れるのか!?

■必ず対面が発生する『下取り査定』はどうなる?

オンラインストアで販売し、納車やメンテのみをディーラー任せにするというのはディーラーの販売意欲を削ぎかねない(dreamnikon@AdobeStock)
オンラインストアで販売し、納車やメンテのみをディーラー任せにするというのはディーラーの販売意欲を削ぎかねない(dreamnikon@AdobeStock)

 下取り車の存在も要検討だ。現状の新車購入で値引きアップするための重要な存在が下取り車。お客の希望条件にするために不足となっている値引き相当額を、下取り査定額に上乗せするというのはどこのディーラーでも当たり前のように行っている。ただ下取り査定は実車を見るのが大前提。

 車両チェックもせずに新車販売の応援として“どんぶり勘定”で査定額を算出するなら別だが、それをやったら引き取って再販する時に大変なことになる。実車をチェックするには、オンラインであってもそのお客さんの家に出向くか、お客さんに訪店してもらわなければならず、あえて接触機会を設けることになる。

 オンライン商談の盛んなアメリカでは、そもそも新車に入れ換える時には、それまで乗っていたクルマは個人間売買で処分するのが当たり前ともいっていい状況。業者が介在しない直接取引となるのだから旨味も大きいはずだ。

 ただ、いきなり“個人間で”というのもある意味乱暴なので、日本でもメーカーや買い取り専業店などが、スマホ対応となる個人間売買サイトを作り、ケースによって個人間取引または業者による買い取りが選択できるようなシステムを構築し、来るべきオンライン販売の重要度が増す時期へ備えるべきとも考える。そこへの出品手数料などを取るようにすれば実現可能なように考えられる。

 Honda ONでは、納車やメンテナンスを正規ディーラーが行うことになっているが、可能ならば全国展開しているカー用品販売店に任せるというのもいいかもしれない。

 自分(ディーラーでということ)が売ってもいないのに、いわばオンライン販売の事後処理となる納車やメンテナンスだけを正規ディーラーに任せると販売現場の士気を下げかねない。

 オンライン販売を始めたからといって、店頭販売を全面廃止するわけではないし、しばらくは店頭販売の方が販売台数は稼げるだろう。新車ディーラーにおいて、“店のお客様(お得意様)”というのは、その店で新車購入してメンテナンスも行うクライアントのことを指す。

 販売はせずに法定点検や修理のみを受けるお客は“メンテナンスのお客様”となる。つまり、保証されている範囲のサービスではもちろんそんなことはないが、それ以外の面では対応に温度差が出てくることもよくある。

 そこをどう感じるかはお客さん個々の問題だが、多少でもクレームリスクがあるのなら、納車やメンテナンスを外部に頼むというのは、オンライン活用ならではのメリットになるかもしれない。

 ピットサービスを併設するカー用品店と協力店契約を結べば実現性が高まるかもしれない。仮にディーラー店頭の士気が下がってしまえば、せっかくオンラインで新規需要を掘り起こしても、トータルでは販売実績ダウンといったことも起こりかねない。

■若年層だけにターゲットを絞ってはもったいない

若年層をターゲットにしたKINTOに高齢者の利用が増えているように、販売側の想定とは異なる層が反応してくれることもある。販売側自らターゲットを狭めるのは早計だ
若年層をターゲットにしたKINTOに高齢者の利用が増えているように、販売側の想定とは異なる層が反応してくれることもある。販売側自らターゲットを狭めるのは早計だ

 また販売対象はジェネレーションZ(20代を中心としたデジタルになじんだ世代)だけではなく、広く設定すべきと考える。前述したKINTOもテレビコマーシャルを見ていると若年層にアピールしているように見える。

 個人向けカーリースとなるので、若年層での新車購入の壁となる、高い自動車保険(任意保険)料負担などもコミコミで支払うことになるので、確かに若年層へのアピールも強い。

 ただ販売現場で聞くと、「ご高齢のお客様で、しかもご本人が“そろそろ終のクルマかな”と考えておられる場合にはKINTOの利用をおすすめします。縁起でもない話ですが、所有ご本人が亡くなられた(“た”をひとつトル)あと、そのおクルマをご親族が相続することになりますが、その手続きは結構面倒なのです。

 KINTOの場合は車両を返却していただくだけですよとご案内すると、利用されるご高齢のお客様もいらっしゃいます。『それまで加入していた自動車保険が使えないのはもったいない』との話もありますが、解約せずに料率をキープしたまま保留にすることができます。

 しかも、同居されるご家族に限りますが、それを相続(クルマよりは手続きは簡単)することも可能となっておりますので、それほどもったいないこととは思いません」とは、某トヨタ系ディーラーセールスマン。

 人生100年時代になると、どこから“お年寄”と呼んでいいかわからないが、世間一般的にいわれるような、お年寄層でもスマホを巧みに使う人は少なくない。「スマホだけで便利になりましたよ」と、幅広い世代にアピールできるようなシステムの構築ができるかも普及のカギを握ることになるだろう。

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