■アメリカで販売される新型シエナが並行輸入で登録できない理由とは
しかし、実は並行輸入が難しいのは中国車だけではない。まったく別の理由で中国以外の国で販売される並行輸入車の登録はかなり厳しい状況となっている。
2020年7月にアメリカで発売されたトヨタシエナがその筆頭だ。先代モデルまでは、新車でも中古車でもアメリカのトヨタ販売店などから購入したシエナを日本に持ってきて販売することは難しくはなかった。
しかし、2020年夏にフルモデルチェンジを受け4代目となった以降に、状況がガラッと変わった。理由は4代目にフルモデルチェンジした新型シエナがハイブリッドのみのラインナップとなったことにある。
実はこちらも前述した58協定の加盟国が制定した協定規則UN/ECE R100)が関わっている。R100はハイブリッドやEVなど電動車の駆動用バッテリーに関する安全基準で、日本で登録するにはこれをクリアしている証明が必要だ。
アメリカで販売されているクルマを日本で並行輸入車として登録する場合、車体に貼られた「FMVSS」(連邦保安基準)のラベルによって日本の保安基準も満たしているとみなされる。しかし、電動車の場合はFMVSSラベルに加えて、駆動用バッテリーに関する各種の基準を満たしている必要がある。
この駆動用バッテリーがR100の認証を得ていると証明できる書類などがトヨタ自動車から出されれば並行輸入車のシエナであっても、問題なく日本のナンバーが付く。
しかし、トヨタ自動車が並行業者のために書類を出すなどありえないので、事実上ハイブリッドのみになったシエナの並行輸入はかなり難易度が高いということになる。
とはいえ、全く方法がないわけではない。日本の試験機関で火あぶり試験をはじめR100の認証を受けるためのテストに合格すれば並行輸入のシエナも日本での登録が可能となる。ある試験機関によると、試験に合格してバッテリーの認証を得よう(=新型シエナを並行輸入登録すること)と頑張っている輸入業者もいるとのことだ。
2021年10月16~17日横浜市港北区の大規模商業施設『トレッサ横浜』のオートモール内に米国仕様のシエナが特別展示された。
トヨタ自動車が日本での反応を見るために試験的に展示したとのこと。リアガラスには車庫証明ステッカーも貼られ、化粧プレートの下にはしっかり日本のナンバーがついていた。まあ、当然と言えば当然だが。
【画像ギャラリー】ぜひ乗ってみたい!話題の日本未発売車に迫ってみる!!(13枚)画像ギャラリー
コメント
コメントの使い方