日本ではマイナーな存在ながら、韓国・中国車は世界的にみれば日本車のライバル。
実際、韓国のヒュンダイグループは世界トップ5に入る販売台数をマークしている。特に韓国車は近年、日本車に劣らない性能になってきていると話すのは、世界カーオブザイヤー(WCOTY)の選考委員も務める自動車ジャーナリストの松田秀士氏だ。
他の製造業を見渡すと、家電業界ではサムスンを筆頭に韓国メーカーの台頭著しい。
「モノづくり大国ニッポン」、最後の砦とも言える日本車は、最新の韓国車・中国車に越えられてしまう日が来るのか?
文:松田秀士/写真:佐藤靖彦、Changan
ヒュンダイ製SUVはまだホンダやトヨタには及ばない?
韓国車は北米でも非常に人気が高くポピュラー。なので、毎年ロスで開催されるWCOTYの合同試乗会では、必ず韓国車に乗るようにしている。北米でもメジャーな韓国車はヒュンダイ(現代自動車)とKIA(起亜自動車)だ。
この2社は同じグループ会社で、KIAはヒュンダイ傘下。ヒュンダイは、2010年に日本市場から撤退(バス事業は継続)したので、17年間もの間、日本ではヒュンダイの新車には乗ることができない。KIAに至ってはもともと日本に進出していない。
2016年にヒュンダイ ソナタというセダンに試乗し、その完成度の高さに驚きを隠せなかった。静粛性、ハンドリング、プリクラッシュなどの安全技術が、かなり高いレベルにあったからだ。しかも、価格が安い。
だから、2017年の試乗会では、まず、発表前モデルのヒュンダイ コナというコンパクトSUVに試乗。コナは日産ジュークのライバル。試乗ステージとなる箱根のような山岳路では気持ちよく攻めることができた。
サスペンションにはしなやかなロール感があり、スポーティではないが、かなり意のままのハンドリング。コネクティビティやヘッドアップディスプレーを備えるなど、いまどきのモデルとしては合格点。ただ、ホンダ ヴェゼルやトヨタ CH-Rを超えているというところまでには至っていない。
KIAのセダンは日本車を凌駕するほどの高性能
ちょっと安心して、4ドアスポーツセダンのKIA スティンガーのステアリングを握った。KIAはヒュンダイのプラットフォームなどを供用しながら製造される廉価版モデル、というイメージ。
しかし、パッと見のデザインは欧州車か? と思うほど。これがKIA? というほどカッコよく、ビックリ。インテリアはクッション性のある厚めのシートが今どき珍しい。
が、走り出すとぜんぜんフワフワじゃない。しっかり身体を固定するかのようにサポート。つまり、包み込まれる感じなのだ。
365psを発生する3.3L V6ツインターボの音はよく、ちょっと低めだけど爆発音が共鳴するレーシングサウンドに8速ATの組み合わせ。音だけでなく加速も鋭い。シフトも速い。
ハンドリングは路面に吸い付くようなグリップ感。しかも、路面の凸凹は全てサスペンションで吸収。とにかく乗り心地がよく、ハンドリングも思い通りのラインに乗せられる。
KIA スティンガー、これはもう日本車を完全に打ち負かしている。しかも5万ドル前後(500~600万円)という内容からは相当なバーゲン価格。試乗車はFRだったが4WDもあるそうだ。
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