隠れ残業も横行!? 自動車整備士の見えざる勤務実態 なぜ報酬は上がらない?

営業マンと同じインセンティブ制度を整備士へ導入せよ

車を安全確実に整備することが当たり前になっている一方で、高い技術や対応力へのインセンティブ制度がないのが現状(©Shutter2U – stock.adobe.com)
車を安全確実に整備することが当たり前になっている一方で、高い技術や対応力へのインセンティブ制度がないのが現状(©Shutter2U – stock.adobe.com)

 労働負荷の軽減とともに、報酬の面でも改善が必要となる。

 整備士の評価は上がりにくい。筆者は、ミスなく点検整備を行う整備士の評価は10点満点であると考えるが、実際の評価制度では「普通」つまり5点だ。

 普通の基準が高まりすぎて、安全確実に整備することが当たり前になっている。高い技術や対応力に対しては、絶対軸で十分な評価をするべきであろう。

 また、営業マンのようなインセンティブ制度があって、しかるべきだ。車両販売や保険契約等を獲得することで、利益の一部が給与に反映される営業マン。こうした給与制度が整備士にもあるべきだと思う。

 日本自動車整備振興会連合会がまとめた、平成31年度自動車分解整備業実態調査結果の概要(令和2年1月23日発表分)によると、整備要員一人当たりの年間整備売上高は、ディーラーで2363万5000円だ。

 この売上高の1%でも給与に還元すれば、年収は約24万円増える。頑張った分だけ、給与に反映されるという仕組みを、整備士の世界にも導入すれば、仕事への意欲も高まるのではないだろうか。

 さらに、整備士出身の店長を、今以上に増やしてほしい。筆者はディーラー勤務時代、整備士出身の店長のもとで長く働いてきた。整備側に気を配れる管理職のもとで働くのは、営業側から見ても働きやすいものである。整備の現場を知る管理職が、直接現場にメスを入れることで、整備士の待遇改善にもつながるだろう。

 最後に、ここまで読んでいただいた皆さんにお願いしたい。整備士に対して積極的に興味を持ってもらいたいのだ。いいと思った整備士の対応には、営業マンと同じように販売店へフィードバックをしていただきたいし、整備士の存在が販売店の表に出てくることで、必ずや地位向上につながっていくはずだ。

 ディーラー、メーカー、そしてユーザーが一体となって、クルマ社会を支える整備士の、待遇改善を本気で考えることが重要である。今すぐ取り組めることも多く、早急な対応を、関係各所で進めて欲しい。

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