InstagramやTwitterをはじめとするSNSに、お気に入りの愛車とともに若い女性オーナーの画像が公開されている機会をしばしば目にする。
彼女たちがどのようなきっかけでクルマに興味を持ち、実際に愛車を手に入れ、どのようなカーライフを送っているのか?
クルマ以外に興味があることや、異性からのリアクション、クルマという固定費と生活費とのやりくり・・・などなど、6人の女性オーナーにご協力いただき、取材を試みた。彼女たちにとっての「愛車」とは?
文/松村 透
写真/松村 透
■このシルビアは「かけがえのない、ただひとつのクルマ」です
●所有車について
・お名前:Mさん
・ご年齢:23歳
・所有しているクルマ:1999年式日産シルビア スペックR(S15型)
・購入時期(西暦にて):2020年10月
・所有年数:1年
・現在の走行距離:112037km
・年間の走行距離:17000km
・年間の維持費:約90万円
・購入時の金額:秘密
●クルマに興味を持ったきっかけ・原体験は何でしたか?
大学生の頃、周囲のクルマ好きの友だちの影響で興味を持つようになりました。
当時、まったくといっていいほど知識はありませんでしたが、頭文字Dや湾岸ミッドナイトといった作品でクルマの魅力に開眼。どうせならMT車に乗りたいと思い、AT限定解除をしました。
より深くクルマについて勉強したいという思いから、ガソリンスタンドでアルバイトをしていたこともあります。その結果、少しずつクルマの知識を深めていくことができたように思います。
クルマに興味を持って以来、家族や友だちと出掛ける機会が増えました。ドライブの最中に見える景色は特別なもので、私にとっては癒しの空間でもあります。
どこまでも連れて行ってくれる頼もしさ、そして特別な空間を提供し、なおかつ人とのつながりをもたらしてくれるクルマという存在を、心の底から好きになりました。
●幼少期〜現在まで、同世代のクルマ好きは多い or 少ない どちらですか?
同世代のクルマ好きは少ない気がします。その一方で、若者のクルマ離れについては実感していますが、クルマに魅力を感じている方は男女問わず多くいるような気がします。
また最近は、女性オーナーも増えてきたことを実感しています。「クルマのことはよくわかんないけど、このクルマが好き!」という同姓の友だちも何人かいますし「クルマ好きだけれど、所有していない層」が増えているように感じます。
●なぜこのクルマを購入したのですか?
もともとS15型シルビアを買うつもりで探していました。運良く、ツテを通じて知人から現在の愛車となるシルビアの話が舞い込んできて、その日に見に行ったんです。
内外装を含め「このクルマ、かっこ良すぎる・・・!!」と一目惚れ。シビれました。
●このクルマのお気に入りポイントはどこですか?
いちばんのお気に入りは横から見たフォルムです。“平べったく、ケツ上がりなデザイン”が美しくて。
それとシルビアの表情も好きです。キリッとしたヘッドライトにいつも元気づけられます。「いつも気合入ってんね〜」と思いながら眺めています(笑)。
白いホイールも大好きで、このレアな5本スポークが気に入って履かせています。その他、ドアを開けたらサイドバーがあるところも(笑)。
あとは純正バンパーから見えるインタークーラーなど、純正な見た目からのギャップを感じるところがこのクルマの魅力だと思います。こうして挙げてみると、お気に入りのポイント満載ですね。
●クルマにお金を掛ける分、我慢していることはありますか?
クルマにお金を注ぎ込む生活をしていた時、生活費の見直しや、自炊をしたり家計簿をつけたりしました。
こうして振り返ってみると、シルビアにはたくさんのことを教えられましたよね。実はクルマを所有する前から自炊しており、おかげさまでひととおり、お料理ができるようになりました。
●将来、予算抜きで手に入れてみたいクルマがあれば教えてください
R33型のスカイラインです。速くてカッコよくて、ムチムチなボディや、ジトっとした表情がたまりません! 永遠に憧れのクルマです。一度でいいから所有してみたいですね。
●クルマ以外の趣味はありますか?
一眼レフのカメラを持っているので、出先でナイスビューと愛車の写真を撮ったりするのが好きです。
ファッションもたまたま派手なものが好きなで、いろいろな服を着て楽しんできました。最近は「バブル時代に女性たちがディスコへ踊りにいく服装」として好まれていたボディコンスーツなどを着て友達と楽しむのが趣味です。
●ズバリ、異性受けはいかがですか?
まず男性からは「女性がシルビア乗っている」ということにビックリされます。そして私のシルビアの中身(内装、エンジンルーム)をのぞいて2度ビックリされます(笑)。
信号待ちで隣のクルマのドライバーさんから「カッコイイですね!」と話しかけられ、コンビニに停めている時も何度かオジサンやオニイサンなどから「カッコイイ車ですね」と話しかけられました。
また、女性からもよく「カッコいいクルマ」というほめられるので嬉しいです! 砲弾型マフラーを装着していた時はとにかく音がうるさく、友人宅に行くとき「家の2キロ先から聞こえてきた」と言われちゃいました(苦笑)。
●あなたにとってクルマとはどんな存在ですか?
私にとってこのシルビアは「かけがえのない、ただひとつのクルマ」です。
「好き」「可愛い」「カッコイイ」「感謝」「尊敬」「絆」「癒し」「推ししか勝たん」・・・などなど、シルビアに対してさまざまな感情を持っています。それをひとことに集約した表現として「かけがえのないクルマ」としました。
その一方で、クルマも感情をもっていて、意思疎通がはかれるものだと私は思っています。
・・・というのも、シルビアを引き取って帰った時、普通のクルマとは違う挙動をするチューニングカーが初めてだったので「このクルマ怖いな」と本気で思っていました。そう思っているうちは上手く運転ができなくて、ギクシャクしたり、エンストしたりして悔しい思いをたくさんしました。
その後、夜な夜な運転の練習をした成果もあって、少しずつシルビアのことを好きになっていくとともに、運転技術も上達していったのです。
もしかしかしたら、手に入れたばかりの頃は、私がシルビアを信じていない気持ちが伝わっちゃってたから運転が上手くできなかったのかな・・・と感じたことも事実です。
機械はしゃべらないけれど、自身の感情が操作に出てしまうものだとも学んだ出来事でした。
いくつもの道を駆け抜けて、ときにはクルマの中で泣いたり、笑ったり、愚痴ったり、友だちと話したり、シルビアに話しかけたり、歌ったり、遊んだり、食べたり、物思いにふけたり・・・さまざまな幸せをもたらしてくれています。
そしてシルビアは、私にドライブの喜びだけでなくさまざまなことを教えてくれいるような気がします。
クルマの調子が悪いとき、心配して力を貸してくれる友だちが私にはいること。整備士という仕事はかっこいいということ。ガソリンは満タン入れると燃費が悪くなるということ。
数え切れないほどありますが、これらの事象をもたらせてくれたシルビア、私にとってのなんなのか、うまい例えがまだ分かりません。
しかし、少なくとも私の生活には必要不可欠な存在であり、豊かな心を構築してくれるパートナーであることには間違いないです。
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