クロスオーバーSUV の登場で、需要が縮小
しかし、1990年代後半になると、トヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」などの、モノコックボディのシティ派、いわゆる「クロスオーバーSUV」が登場。セダンやコンパクトカーから乗り換えても違和感のない快適さで、たちまち人気となり、パジェロ人気に陰りが見え始める。
日本ではほとんどの道路が舗装されており、雪国であっても除雪状況がある程度行き届いていることから、少し車高の高い4WDがあれば全く問題はない。週末に、ちょっとアウトドアレジャーに行くぐらいならクロスオーバーSUVでも十分だし、モノコックボディならデザインの自由度も高く、スタイリッシュにできる。需要の移り変わりは仕方のないことだった。
こうして、パジェロのような本格オフローダーはややマニアックなモデルで、本当に好きな人が選ぶクルマというイメージに変化していった。もちろんこれはパジェロに限らず、他社メーカーのオフローダーにも当てはまり、市場自体が縮小。
加えて、2000年代には三菱のリコール隠し問題の影響もあって国内販売が減少、三菱全体の業績が悪化するなかで、2016年には日産が三菱の筆頭株主となり、ルノー・日産アライアンスに参加、三菱の経営戦略が大きく変化することになった。この影響でパジェロは生産中止となり、40年近い歴史に幕を閉じることになってしまった。
「パジェロ」の魂は海外で生き続けている
パジェロは生産終了となってしまったが、「パジェロ」の名は今も海外で生きている。かつて日本で「チャレンジャー」という名前で販売されていたミドルクラスのオフロードSUVが、「パジェロスポーツ」として、東南アジアなどで現在も販売されているのだ。
チャレンジャーは、2001年にエアトレックに代わる形で国内販売を終了したのだが、その後、世界戦略車として新興国を中心に販売が続けられており、現行型は3代目となっている。
パジェロスポーツは後輪駆動ベースのオフロードSUVで、3列シート7人乗り。パジェロと同じスーパーセレクト4WD-IIというパッケージング&メカニズムをもち、ダイナミックシールドの洗練された顔つきでありながら、いかにもオフローダーと言わんばかりの骨太なフォルムが実にカッコいい。
三菱のお家事情を考えると、次期パジェロを新たに開発して投入という可能性はかなり低いだろうが、このパジェロスポーツを日本に導入するということはできなくもない。パワートレインを日本の環境規制に合わせて変更する等、いろいろハードルもあるだろうが、パジェロファンのためにもなんとか導入してほしいと思う。
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現在のSUV人気は、クロスオーバーSUVが中心であり、当の三菱もアウトランダーPHEVが販売の主力車種だ。東京オートサロン2022の三菱ブースには新型アウトランダーPHEVのラリーアート仕様が参考出品として登場していた。
気候変動対策によって、各自動車メーカーが難しい舵取りを迫られる中ではあるが、乗用車の概念を大きく変えたパジェロの偉大な功績を考えると、ぜひともその名前は残していてほしい。
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