■クルマと自転車との残念な行き違い
かくいう筆者も自転車乗り(クルマも所有)だが、自転車が邪魔者扱いされることにまったく異論はない。本来、自転車には、
①車道が原則、歩道は例外
②車道は左側を通行
③歩道は歩行者優先で、車道寄りを徐行
④以下の安全ルールを守る
・飲酒運転は禁止
・ふたり乗りは禁止
・並進は禁止
・夜間はライトを点灯
・交差点での一時停止と安全確認
・信号を守る
⑤子どもはヘルメットを着用
といった「自転車安全利用五則」というものが設けられており、多くの自転車乗りがこれを厳守している。
しかし、なかには「歩道を我が物顔で走る」、「車道を堂々と逆走する」、「軽車両なのに歩行者と勘違いしている」などなど、マナーの悪い自転車乗りが一定数存在して問題となっているのは事実。なおかつ、自転車が関わる交通事故発生状況が増加傾向にあることを踏まえると、嫌われてもしょうがないか……と思うこともある。
とはいえ、先述した原則がある以上、たとえ邪魔者扱いされても自転車は車両としてクルマと共存せねばならない。特に車道を走ることが多いロードバイク乗りは、先述した自転車安全利用五則を守るべく、身体をはって車道を走ることの正当性をアピールしている。
それなのに、いまだ自転車が車道を走る乗り物であることを認識していない(または許さない)ドライバーの皆さんからは、煽られたり、クラクションを鳴らされたり、あからさまな幅寄せされたりと、残念な扱いを受けることも少なくない。だからこそ、道路における圧倒的強者であるクルマに乗るドライバーには、もう少し温かい目で自転車乗りを見ていただきたいと切に願うのだ。
ロードバイクはクルマやバイクほど速くはないが、30km/hくらいは普通に出せるため、ドライバーからすると一般的な自転車より速くて、抜こうにも抜きづらい厄介な存在である。自転車側からすれば、そんなことは重々承知している。
しかし、法律で定められているから車道を走っているわけだし、(全員がそうだとは言わないが)歩車分離の信号は車両側が青になってから進むし、一時停止もしっかり止まるなど、クルマと同じルールを厳守している。やむを得ず歩道を走る場合でも、歩行者の皆さんに対してかなり気を使っている。
■自転車乗りからの切なる願い
「自転車は自転車専用レーンを走ればいい!」そんな意見もあるだろうが、現状、車道において自転車乗りが無双になれる専用レーンが設けられている道路は極めて少ない。大通りならともなく、住宅街の路地なんて歩道や路側帯すらほんの気持ち程度の幅しかないところも少なくないのだ。
仮に自転車専用レーンがあったり、あるいは道路の左側に自転車がクルマに迷惑をかけずに走れる幅があったとしても、そこにクルマが路上駐車していることも……。そうなると、これを避けるために、自転車は後方からクルマはもちろん、止まっているクルマにも気をつかいながら右側に出なければならないわけだが、それがドライバー視点では「チャリが急に右側に出て来やがった! 危なっ!!」などと思われてしまうのだ。
クルマが道路上の強者である所以は、日本の道路の作りがそうさせているのだから、そんな残念な扱いも甘んじて受け入れたい。道路交通法とか道路の作りによって生じる問題を解決するのは容易ではないからだ。しかし、クルマと自転車双方の意識を変えることは決して難しいことではないはず。
自転車が交通弱者であるとは言わないが、クルマのほうが強いのは自明だ。理想論かもしれないが、クルマを運転する皆さんには強いもの(=クルマ)が、弱いもの(=自転車)に対して、どういった対応をするべきかを考えてほしい。
僭越ながら言わせてもらうと、クルマの皆さんにも先述した「自転車安全利用五則」を理解しておいていただきたい。自転車がなぜ車道を走っているのかを知るだけでも、自転車に対するイライラはほんの少し軽減されるはずだ。
そして、ドライバーの皆さんには”車道はすべての車両でシェアするもの”であり、自転車乗りは、”自身が車両である”ことを自覚するといったことを心がければ、車道における気持ちのいい共存が可能になるのではないだろうか。
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