東京オートサロンで発表された500台限定のスペシャルモデルとなるGRMNヤリスは、発表間もなく3000台もの購入希望を集めるなど、大きな反響となっている。ここではGRヤリス(1.6Lターボ+4WD)を登場後即購入し、すでに1年1万km以上乗った筆者が、GRMNヤリスを改めて紹介し、その魅力などを紹介します。
文/永田恵一
写真/トヨタ
■GRブランド内におけるGRMNヤリスのポジションとGRMNヤリスのチューニング内容
トヨタ車のスポーツモデルとなる「GR」の名を持つモデルは、大きく3つに分かれ、普及モデルから見ていくと
(1) 〇〇GR SPORT(現行車ではプリウスPHV、トヨタでも販売されるコペン、 C-HR、ランドクルーザー、ハイラックス)
既存のモデルに機能面では必要に応じたボディ補強やタイヤ&ホイールを含めたサスペンションチューニング、エアロパーツをはじめとした内外装のグレードアップなどを行った比較的ライトなスポーツモデル。
(2) GR〇〇(GRヤリス、GR86、GRスープラ)
本格的なスポーツモデルとして開発されたクルマそのもの。
(3)GRMN〇〇(過去のモデルでは先代86、マークXなど)
過給機の装着やエンジン本体のチューニング、ベース車にはないMTとするなどパワートレーンのチューニングに加え、車体やサスペンションも大幅に手が加えられた台数限定となる本格的なコンプリートカー。
といった具合で、GRMNヤリスは、「スーパー耐久や全日本ラリーなどモータースポーツ現場からのフィールドバックを盛り込んだ、速さだけではないより高い精度やドライビングプレジャーを持つ究極のヤリス」である。
こうしたコンセプトを持つGRMNヤリスのチューニング内容を、標準モデルにあたるGRヤリスに追加して再現するのが難しい部分から挙げていくと、
●ボディ補強
GRMNヤリスはGRヤリス比で(以下同)、スポット溶接545箇所と、鉄板と鉄板を密着させる構造用接着剤の使用を12m延長、車内に付くボディ補強ブレースの追加。
●軽量化
シートをサイドエアバッグ付レカロ製フルバケットへ変更、2シーター化、ボンネットのカーボン化、標準車では簡易なカーボン素材だったルーフをより軽量なカーボン素材とすることなどにより約20kg軽量化。
●エンジン
ハンドメイドではないものの、ピストンをより重量差が少なくかつ軽量なものとし、それに伴う制御の変更により最高出力は272psと標準車と変わらないが、最大トルクは37.7kgmから39.8kgmに強化。
●駆動系
ディーラーオプションで設定され標準車にも装着可能な耐久性なども強化された1速から4速のギア比が変更されたクロスミッション、強化クラッチ、前後機械式LSDの装着。GRMNヤリスはこの時点で乗り手を選ぶ、特殊なクルマである。
●インテリア
バックスキン巻きとなるステアリング、パーキングブレーキ、シフトノブの装着、メーターのフォントの変更など。
●アップデートプログラム&パーソナライズプログラム
前者はエンジン強化や駆動制御の改善などを予定がされるパーツ追加とソフトウェアの提供、後者はステアリング制御、エンジン制御、駆動配分といったソフトウェアに加え、サスペンションのセットアップ、空力パーツなどのハードウェアをユーザーひとりひとりに合わせてカスタマイズしていくという。
GRMNヤリスはここまでに挙げたチューニングが施され、さらにここからユーザーが仕上げていく「ベース車」GRMNヤリス(731万7000円)に加え、サーキットでの速さと楽しさを極めた「サーキットパッケージ(846万7000円)」と、ラリー参戦車をイメージした「ラリーパッケージ(フルパッケージで837万8764円)」という2つの仕様が用意される。
それぞれに装着されるパーツを紹介していくと、「サーキットパッケージ」には専用となるBBS製18インチアルミホイール(東京オートサロン出展車のタイヤは標準車に対し1サイズ太い235幅で、最高峰のスポーツタイヤとなる横浜ゴムのアドバンA052を履いていた)、減衰力調整機能付ビルシュタイン製車高調、カーボン製リアスポイラー、サイドスカート、カナード付リップスポイラーといったエアロパーツが加わる。
「ラリーパッケージ」はディーラーオプションのグラベル用サスペンションキット、アンダーガード、ロールバーなどを必要に応じて装着し、仕上げていくという仕様だ。
500台限定となるGRMNヤリスの購入は、(先着順ではなく)2022年2月28日(月)までとなるWebからのエントリー後の抽選となるので、興味あるユーザーはとりあえずエントリーすることを強く勧める。
コメント
コメントの使い方