中高年カーマニアにとって、スポーツカーこそ魂の拠りどころ。しかし、そのスポーツカーの未来は限りなく暗い。ヨーロッパでは、2035年までに、内燃エンジン車が禁止されようとしている。アメリカの14の州でも同様の動きがある。
実は、スポーツカーがそれなりに売れているのは、世界のなかでも日米欧、この3つの地域のみ。それで9割以上を占めている。中国をはじめとする新興国では、ごく一部の富裕層がスーパーカーを愛好するだけで、大衆はスポーツカーにまったく関心がない。新興国や途上国には、スポーツカー市場はない。
つまり、日米欧がコケたらスポーツカーは死ぬのである!
そこで、清水草一と渡辺敏史の2名で構成されるベストカー「スポーツカー解放戦線」が、まず日米欧のスポーツカー市場を吟味。そのうえで、生き残り策を議論! 今回はヨーロッパ編。スポーツカーよ、永遠なれ!
■アメリカのスポーツカー市場規模/2021年上半期…約12万台
■ヨーロッパのスポーツカー市場規模/2021年上半期…約4万台
■日本のスポーツカー市場規模/2021年上半期…約1万台
●電動化を生き残れ!! 世界のスポーツカー サバイバルへの道【アメリカ編】
●電動化を生き残れ!! 世界のスポーツカー サバイバルへの道【日本編】
※本稿は2021年12月のものです
文/渡辺敏史、清水草一、ベストカー編集部、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』2022年1月26日号
■エキゾチックカーの本場!! ヨーロッパ
●第1位:ポルシェ911 8684台
今年上半期、全世界で約2万台を販売したポルシェ911は、アメリカンスポーツを除けば、世界で一番売れるスポーツカー。地元ヨーロッパでは、あらゆる意味で無敵の存在だ。
2018年に8代目の「992型」にモデルチェンジしてからも、その勢いは不変。
グローバルでは、ポルシェの販売台数の約6割がSUVになり、ヨーロッパでもマカンとカイエンは大人気だが、スポーツカー冬の時代になっても、911の需要は底堅い。日本でも人気は圧倒的で、「ポルシェ」と言えば、相変わらず911のことを指すぜ!
●第2位:BMW Z4 4943台
2018年、トヨタのスープラとプラットフォームを共用する形で、現在の3代目Z4が登場。全車ソフトトップを持つオープンモデルだ。日本ではそれほど人気はないが、地元では911に次ぐ第2位の売れゆきを誇っている。
●第3位:マツダ MX-5 4198台
自動車およびスポーツカー発祥の地・ヨーロッパで、販売台数第3位の地位にあるのが、我らがロードスター(輸出名MX-5)! 日米欧主要3地域でまんべんなく売れているのは、ポルシェ911とロードスターくらいだ。
●第4位:ポルシェ718ボクスター/ケイマン 3194台
1990年代前半、911の販売不振で経営危機にあったポルシェ社を救ったのが、初代ボクスターだった。近年はスポーツカー市場の縮小・高級移行により台数が落ちているが、ポルシェのスポーツカー部門を下支えしている。
●第5位:アウディTT 3015台
日本では代を経るごとに存在が地味になっている感のあるアウディTTだが、地元ではクールで手軽なスポーツカーとして、その地位を確立している。エンジンはすべて4気筒2Lターボ。ボディ外板はオールアルミ製。
●6位以降の順位はこちら!
6位/フォードマスタング 2090台
7位/ジャガーFタイプ 1634台
8位/フェラーリF8 1557台
9位/AMG GT 1425台
10位/アルピーヌA110 905台
圏外/日産370Z 17台
圏外/ホンダNSX 1台
アメリカンスポーツのマスタングが6位にいるのにビックリ。欧州人もおおらかなアメリカンへの憧れはあるのだろう。そして8位に3000万円オーバーのフェラーリF8が入っていて、さらにビックリ。ヨーロッパでは、スポーツカーは主にお金持ちが買うものなのだ。
そんななか国産勢は、ロードスター以外はすべて討ち死に状態。GT-Rはゼロ! 統計漏れか? NSXは冗談のような「1台」。どちらも事実上、販売打ち切りの状況にあるのだろう。涙が出ます。
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