■3ナンバー比率増大、ミニバン&SUVなど大型化も原因
3ナンバーの普通車の比率が増えてクルマが全体的に大型化されていることに加え、ミニバンやSUVのブームもあって全高が高いクルマが増えており、車重も増加傾向にある。
これはすべての機械式駐車場に当てはまることだが設備の関係上、車両寸法や重量に制約を受けるため、クルマのサイズアップにより駐車不可となるケースが出てくるのだ。これは効率を考えた機械式駐車場の弱点とも言える。
もちろん現在販売されている機械式駐車場は、大型乗用車が収納できるタイプも存在する。地域によってタワー型駐車場が選ばれるケースもこれからも一定数は残っていくだろう。
ただEVの割合が多くを占めてくるようになったら、駐車中に充電しにくい構造であるタワー型は敬遠されていくようになるかもしれない。しかし非接触充電と建物外壁へのソーラーパネル設置で、自動的に充電しておけるようなカーシェア用のタワー型機械式駐車場なんて、設備も不可能ではない話だ。
また基本的にタワー型はスタッフによる操作が必要で、従業員を常駐させる必要があるのに対し、自走式であればコインパーキング同様、料金精算機さえ設置すれば無人化できることから人件費の負担が少ない。
タワー型でもパレットが入出庫口より外部にスライドするようにすれば無人化も実現できるかもしれないが、設備の安全上内部に人が入る危険性を排除できなければ、設置側の安全対策として専門スタッフを置くしかないのだ。
複雑な構造上、定期的なメンテナンスが必要なことも、既存のタワー型機械式駐車場を存続させることを難しくしている。マンションに設置される機械式駐車場も同様の理由で、設備の老朽化やクルマの大型化、駐車台数の減少もあって、廃止されて平置き駐車場へと変更されることが増えているようだ。
■今後、タワー型機械式駐車場は減少の一方なのか?
しかし、都市部においては土地の有効活用という観点から立体駐車場は欠かせない設備である。
ショッピングモールのような大型集合型店舗となると、店舗と一体化したスロープやループ状の通路が組み込まれた大規模な自走式立体駐車場が設けられるが、都市部の小規模な店舗は専用駐車場を持たないケースも多く、限られた土地に一定台数の駐車スペースを用意する必要がある地域は依然として多い。
オフィスビルやマンションでは平置きではなく地下駐車場を設けているところもあるが、豪雨などの自然災害が増えていることを考えると、建物にタワー型機械式駐車場を隣接させるところも今後は出てくるかもしれない。
実際に機械式駐車場の製造業者では、そんな高層ビル一体型のタワー型駐車場を提案しているところもある。
これらを考えると、今後もタワー型機械式駐車場は一定数は存続されていくことになりそうだ。これからもより効率の高い、安全な駐車システムとして進化していくことだろう。
海外でもタワー式駐車場を導入しているところはある。しかしそれはディーラーがクルマを展示する目的で設置したものなど、実用性より広告効果を狙ったところが多いようだ。
日本の建築技術は当然のこと機械式駐車場においても、パレットなどを操る複雑な機構やその制御など技術やノウハウは間違いなく世界一と言っていいものだ。
日本国内においてはすでにピークは過ぎているが、新興国の都心部など過密した地域では高級車などを安心して駐車しておく設備として、タワー型を設置する需要は今後増加するところもあるハズだ。
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