■ミニバンは『顔』で選ぶ時代
自販連(日本自動車販売協会連合会)の統計で、2021暦年締め年間販売台数をみると、ノア&ヴォクシーは11万4296台なのに対し、セレナは5万8954台、ステップワゴン3万9247台となる。
ノア&ヴォクシーとセレナ、ステップワゴンではダブルスコア並みもしくはそれ以上の差がついており、このクラスの販売規模はトヨタが圧倒的に多い。
ただ販売規模が大きいだけに、比較的おとなしめなノアとギラギラ感を追求するヴォクシーの2台を用意しないと、ユーザーをライバル車へ逃がしてしまう“隙”ができてしまうのである。
アルファードしかり、トヨタは“ギラギラ”や、やや表現はよくないかもしれないが“オラオラ系”といった押し出しの強い顔つきについて、行き過ぎない程度に抑制してまとめるというのが得意であるのは確か。
この手の顔つきは行き過ぎれば拒否反応を示されてしまう。中国メーカーがアルファード系に影響され、アルファード系を上回るギラギラフェイスを採用したミニバンを多くラインナップしているが、日本人から見れば行き過ぎイメージが優先してしまうものとなっている。
今回新型ヴォクシーの顔つきについては、業界内からも「トヨタにしてはかなり踏み込んだ」ともいわれるアグレッシブな顔つきを採用している。
アルファードという日本車では唯一無二の存在があり、トヨタの販売力、そしてノアとの2枚看板で売っていくので、極端なヴォクシーの販売不振は意図的にノアへ販売シフトしない限りはまずないだろう。
ちなみに、今回ノアとヴォクシーがモデルチェンジし、先代比で価格アップになった。残価設定ローンを組むと、値引きや残価率の差により、月々の支払額ではアルファードとほぼ同額になるケースもあり、納期遅延を嫌い新型ノア&ヴォクシーを希望していたお客さんがアルファードに流れているケースも目立っていたのだが…。
「法規対応のための一部改良でアルファード系はオーダーストップとなりました。そのため、法規対応後のモデルは9月以降の納車予定となったので、納期が短いというメリットは薄れてしまいました」とは事情通。
ステップワゴンの新型がシンプルなボックス型デザインを採用し、セレナがハイウェイスターよりギラギラ感を抑えた特別仕様車を投入する動きは、エアロ系もしくはギラギラ系ともいえるミニバン販売によるトヨタの独走に追いつけないがゆえの“隙間商品”的存在のモデルへの販売強化へ動いたのだろうか。
それともユーザーの行き過ぎたギラギラフェイスへのアレルギー反応が目立ってきているのか、あるいはこのクラスがギラギラ一辺倒ではなくなってきていることを物語っているのか、それは新型ステップワゴンやセレナの特別仕様車の今後の販売動向を見れば明らかになっていくことになるだろう。
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