■新型ノア&ヴォクシーのリモートパーキング
思わず「ここまでやるのか!」と声を上げてしまいそうになるのが、2022年1月に実施されたトヨタのミニバンであるノア&ヴォクシーのモデルチェンジだ。
改良は細部にわたり、最新機能を余すところなく与えられている。新型ステップワゴンも発表されたとはいえ、安全装備や装備の充実ぶりは最強ミニバンであるノア&ヴォクシーの地位に揺らぎはなさそうだ。
たとえば、運転支援装備を見ても、PDA(Proactive Driving Assist:プロアクティブドライビングアシスト)を筆頭に最新仕様の安全装備を与えた。なかでも注目なのは、トヨタ・ブランドとして初めて採用した「アドバンストパーク(リモート機能付)」だ。
従来からヤリスやアクアなどの新型車に採用を進めてきた「アドバンストパーク」は、並列駐車時の支援を拡大、白線を基準に位置決めを実施していた旧来の機能を進化させ、従来のバックでの駐車に加え前向き駐車に対応しつつ、バック出庫も可能になった。
さらにハイブリッド仕様車(エンジン車はリモート機能なし)では、ドライバーがスマートキー携帯時に、車外から専用アプリをインストールしたスマートフォンを操作することで、駐車および出庫が可能なリモート機能を備えている。
子供や高齢者の方を広い場所で乗り降りさせてあげたい時やトランクから荷物を取り出す際など駐車時の使い勝手を向上させている。
ちなみにこの機能は、パーキングサポートブレーキ(周囲静止物)と組み合わせられ、パノラミックビューモニター+パーキングサポートブレーキ(後方歩行者)とともにセットでメーカーオプション(税込価格:12万6500円)となっている。
■高級車の壁を打ち破られるのか?
それでは日本市場でのリモート駐車機能は、現行車でどのような車種に設定されているか、以下にまとめてみた(カッコ内は発表時期)。
●トヨタ:トヨタチームメイト アドバンストパーク(リモート機能付) ノア&ヴォクシー(2022年1月)
●レクサス:レクサスチームメート アドバンストパーク(リモート機能付) NX(2021年8月)
●日産:プロパイロットリモートパーキング アリア(2020年7月)
●メルセデス・ベンツ:リモートパーキングアシスト Sクラス、Eクラス(2017年8月)
●BMW:リモートコントロールパーキング 7シリーズ(2016年5月)
●ポルシェ:リモートパークアシスト 911、カイエン(2021年9月)、タイカンおよびタイカン・クロスツーリスモ)(2021年11月)
輸入車でも車外からリモート駐車機能を備えたモデルは増え続けている。順を追って見ていくと、量産車初となったリモート機能を備えたBMW7シリーズは、駐車スペースに前向きに停車させ、キーディスプレイの通信機能を使って前向きに自動的に進入できるが(出車時は後進)、前後方向のみの移動となる。
日産のアリアも車両の向きは前後を選べるが、同様の機能を持つ。
いっぽう、メルセデス・ベンツとポルシェは、スマートフォンのアプリを利用した外部からの遠隔操作として、車外からのリモート機能により、縦列並列車庫入れを可能としている。
メルセデス・ベンツは情報をスマートフォンで情報をやりとりするサービス「Mercedes me Connect」の機能の中で、「リモートパーキングアシスト」をSクラスとEクラスに設定。駐車位置を把握した上で縦列駐車とともに後方から並列駐車が可能としている。
リモートパーキング機能は他のメーカーもオプションが基本として設定されているが、たとえばポルシェでは911に用意されていても、設定されて然るべきとも思えるパナメーラに未採用なのはプラットフォームの世代の関係だろう。
ところで同じVWグループ内のプレミアムブランドであるアウディは、遠隔操作駐車機能として「AIリモートパーキングパイロット」をA8(A7スポーツバック)に2018年9月に設定したが、現状で日本市場ではA8の設定はない。
理由としては、ドイツ本国で2021年11月にフェイスリフトを発表したためと思われ、新たにオプションとして「Park」パッケージを用意した。この中には「リモートパークアシストプラス」として、こちらも縦列並列、駐車スペースに自動的に出し入れが可能として。ドライバーは車外から操作することもできるとしている。
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