アナログ世代のおじさんには理解するまで時間がかかるけれど、クルマは毎年進化を続けている。特にここ数年は一気に加速している感じがする。
そこで今回は、世界初の装備、〇〇初の装備といった、クルマの飛び道具を見ていきたい。はたしておじさんに理解できるのかはおいといて、しっかりこれを読んで頭に叩き込みたい。
文/岩尾信哉
写真/マツダ、トヨタ、ホンダ、ベストカーweb編集部
■ロードスターの足回りの新技術KPC(キネティック・ポスチャー・コントロール)
マツダが2021年12月に発表(2022年1月発売)、車種追加と商品改良を受けたロードスターでは、軽量化が施され車重(990kg)をネーミングに与えた「990S」が注目を浴びた。
加えて、全グレードで設定されたKPC(Kinematic Posture Control:キネティック・ポスチャー・コントロール)も見逃せない装備だ。装備といってもKPCは見た目で認識できるわけではなく、コーナリング性能が特別な電子制御を利用して飛躍的に向上するわけではない。
それでも、ホイール、ダンパーなどのアフターパーツの装着にも対応するなど、足回りの改善に寄与する良心的な追加設定といえる。
KPCの特徴は、日常域でスムーズに動くロードスターのサスペンション構造を活かしながら、ハイスピードコーナリングでは安定した旋回姿勢を実現することにある。
ロードスターのリアサスペンションは、ブレーキをかけることで車体を引き下げる「アンチリフト力」が発生するジオメトリーを採用している。
これの特性を最大限に活かし、Gが強めにかかるようなコーナリングの際に左右後輪の回転速度差から旋回状態を感知。リア内輪側のブレーキを精密に制御して。リアの内輪側をわずかに制動する。これによりKPCは、ロールを抑制しながら車体を引き下げて旋回時の車両姿勢を安定させるとしている。
ちなみにマツダは「KPCによる重量増加は1グラムもありません」としていて、既存の制動力による車両の姿勢制御を実施する「G-ヴェクタリング」とは別系統での制御を実施するとのことだ。
総じてKPCは、日常域での軽快な挙動を保ちつつ、ハードな走行でもコーナリングで姿勢変化を巧みに制御することを狙った設定といえる。ロードスターのスポーツカーとしての魅力を増す効果があるのか注目だ。
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