【実録】ホンダeオーナーが極寒の雪国で走ってみた! はたして無事に帰れたのか?

■寒いと充電スピードも下がる

 雪国に行く前に、USBでつなぐ電熱ブランケットやスコップ、スノー(ぬかるみ)ヘルパー、防水タイプの軍手なども車内に放り込んだ。

USB接続の電熱ブランケットはEVに限らず、寒い時期の遠出でおすすめのアイテムだ。クルマ側にヒートシーターがついていれば効果的
USB接続の電熱ブランケットはEVに限らず、寒い時期の遠出でおすすめのアイテムだ。クルマ側にヒートシーターがついていれば効果的

 目指したのは群馬と新潟の県境で、我が家からは190kmほどの距離にある。早朝に出発し、1時間ほどで関越道に入った。気温はマイナス(氷点下)1℃を指している。出発前にタイマー予約機能を使ってエアコンで車内を暖めていたため、走り出しから快適だった。

 80km/hのスピードで丁寧な運転を心がけたが、駒寄PAまではなだらかな登り坂が続く。そのため電費はいつもより悪い6.2km/kWhだ。

 ここで50kWの急速充電器を使ったが、外気温がマイナス3℃だったからか、充電器の不具合か分からないが、思うように電力量が増えていかない。30分つないで11.5kWhにとどまった。

 この先は登り坂が続く。電費は5.2km/kWhまで下がったので、20km先の赤城高原SAに立ち寄って再充電。

近年はこの「急速充電」も物凄い勢いで進化中だ。有名所はテスラスーパーチャージャー(250kW)だが、新型ヒョンデアイオニック5は充電回路に駆動モーターを使用し、350kWの充電電力許容量を誇る。日本ではインフラの充電器側が対応していない
近年はこの「急速充電」も物凄い勢いで進化中だ。有名所はテスラスーパーチャージャー(250kW)だが、新型ヒョンデアイオニック5は充電回路に駆動モーターを使用し、350kWの充電電力許容量を誇る。日本ではインフラの充電器側が対応していない

 外気温はマイナス5℃だったが、今度は13.2kWh入り、バッテリー量は82%まで増えた。航続可能距離は153kmと表示される。

 最短距離を走るため、月夜野ICで国道17号線に下り、三国峠を目指す。勾配はどんどんきつくなり、外気温もマイナス7℃まで下がった。平均電費は4km/kWh台前半まで落ち込んでいる。

 オートエアコンは便利だが、思いのほか電費を落ち込ませてしまうのだ。エアコンを使うときはマニュアル式に切り替え、細かく温度や風量を調整した方がいい。

 今回も少し不安なのでエアコンの設定温度を下げたが、最後はエアコンを止め、シートヒーターとステアリングヒーターだけでの走行に変更した。助手席の人は熱線入りブランケットや足温器があると寒さをしのげるはずだ。

 峠の頂上付近までは約40kmの距離だったが、航続可能距離は65kmまで縮まった。ハラハラさせられたが、下り坂になるとエネルギー回生を使って航続距離を延ばせるのでホッとする。

 EVは行く先の標高差や道路レイアウトなどを知っておく必要があると痛感した。ギリギリでの充電は、危険だ。充電スポットが休みだったり、故障することだって考えられる。山間部を走る時は早めに充電することが大事だ。

 ちなみに氷点下10℃以下の北海道で出力が20kWの中速型充電器につないだ時は30分の充電で少ししか電気を貯められなかった。充電器もバッテリーも冷えていたからだ。すべてが高出力の充電器とは限らない。

 だから土地勘のない地方を走るときは、少し電気を多く残して電欠の不安なしに充電した方が安全である。バッテリーに電気がたくさん残っていれば、万一、大雪で立ち往生したときも安心だ。

 消費電力の少ないシートヒーターに電熱ブランケットの組み合わせなら、それほど電気を食うことはない。雪の中に長時間閉じ込められても、エンジン車のように一酸化炭素中毒になる危険性がないのもEVのいいところだ。

 ホンダeのバッテリー容量は35.5kWである。満充電に近い状態なら、上手に暖を取れば、ひと晩くらいは車内にこもっていられるだろう。

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