今度のEVとFCVは間違いない!? ヒョンデ日本12年ぶり再上陸の現在と2001年を比較する

■ボルボもオンライン販売を導入していた

 いわゆるオンライン販売については、例えばボルボ・カーズ・ジャパンが新型BEVの「C40 Recharge」を皮切りに実施している。

 ただし、同社のマーティン・パーソン社長は筆者から「オンライン販売で、これから既存のボルボディーラーはどうなっていくのか?」という質問に対して、「オンライン販売といっても、最終的な売買契約はディーラーで行う」として、ディーラー網を現状のまま維持することを説明している。

 そのほか、最近では中古車市場でもオンライン販売が進んできており、日系メーカー系のディーラー網で全国各地の在庫を閲覧して購入できるが、売買契約について書面でのやりとりがあるなど、完全オンライン化までには至っていない印象がある。

■「完全オンライン販売」ってメンテナンスはどうするの?

 一方、ヒョンデの場合、売買契約と決済までオンラインで完結するという、完全オンライン販売となる。

 購入した後、新車は購入者の自宅など購入者の指定する場所に納車され、メインテナンスについても全国の協力整備工場が対応する体制を整えている。

 ディーラーがないという、本来ならば大きな弱みを、大きなビジネスチャンスに変える発想の転換だ。

 オンライン販売については、自動車メーカー各社がその可能性について充分認識してきているのだが、既存ディーラーとの基本契約のなかで、どうしても「さらなる一歩」が踏み出せないというのが実状だと思う。

■2000年代と比べてみると?

 では、肝心の『モノ』はどう変わったのか?

 今回、ヒョンデが日本市場に導入したのはZEV(ゼロエミッションヴィークル)オンリーだ。BEVの「IONIQ5(アイオニックファイブ)」と燃料電池車の「NEXO(ネッソ)」の2モデルである。

 一方、2001年から2009年までの、当時のヒョンデの日本市場向けモデルは、小型から高級車までフルラインナップだった。

写真はDセグサルーンの「ソナタ」(2002-05)モデル。当時のヒョンデの日本市場向けモデルは小型から高級車までフルラインナップを揃えたが、すべて日本車にライバルがいたため販売面で苦戦し2009年に撤退した
写真はDセグサルーンの「ソナタ」(2002-05)モデル。当時のヒョンデの日本市場向けモデルは小型から高級車までフルラインナップを揃えたが、すべて日本車にライバルがいたため販売面で苦戦し2009年に撤退した

 具体的には、エントリークラスとしてはコンパクトカーの「エラントラ」、同ハッチバックの「エラントラユーロ」、SUVの「サンタフェ」、Dセグサルーンの「ソナタ」、上級セダンの「XG」、スポーツカーの「ヒュンダイクーペ」、そしてミニバンの「トラジェ」などだ。

■日本に再進出するヒョンデの勝機

 2000年代といえば、ヒョンデがアメリカ市場で一気に頭角を現した時期だった。筆者はその様子を全米各地において肌感覚で捉えてきた。各種のメディア試乗会、またはレンタカーなどでヒョンデ、および同系メーカーのキアの各モデルを体験したが、マイナーチェンジやフルモデルチェンジによって、クルマのデザイン、動力性能、ハンドリング、乗り心地などすべてにおいて急激に品質が上がっていった。

 北米市場でのヒョンデの勢いは、欧州やインド市場などでも広がり、グローバル企業としての存在感を示し始めていた。

 そうしたなかで、日本市場進出となったわけだが、日本における輸入車のイメージに対して、当時のヒョンデのラインナップでは「日本車との違い」がユーザーにしっかり伝わらず、ユーザーが「日本車ではなくヒョンデを買う理由」が明確にならなかった印象がある。

 それが今回のようなZEVオンリーとなると、日系メーカー各社にとっても、本格普及に向けたスタートラインに並んだ状態であり、ヒョンデとして「勝ち目がある」と考えるのは当然だ。

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