■実際に所有した輸入車は何が壊れたか?
購入後の不安についてだが、これも国産車とさほど変わりない。よく言われているとおり、メンテナンスをしっかりしておけば年数を経た、素性がわかりにくい中古車でも不安は軽減できる。とはいえ、輸入車だからといってナーバスになる必要はない。
僭越ながら(20年ほどではあるが)輸入車を所有してきた筆者の経験に基づくと、普通に使っているぶんには派手に壊れることはなかった。
ちなみに筆者が最初に所有したのはドイツ製のコンパクトカーで、新車で購入し13年ほど所有していた。初めての輸入車だったこともあって購入当初は気づかっていたものの、元来ズボラな性格のためメンテナンスは2年に一度の車検のみで、油脂系消耗品の交換はそのときだけ。にもかかわらず、13年の間に発生した故障は、リコールが起因するトランスミッションのトラブルのみの1回。
むしろ、そのあとに乗り換えた別のドイツ製コンパクトカーのほうが、トラブルに見舞われることが回数は多かった。こちらの場合はいずれも走行に支障をきたすものではなかったが、同クラスの国産車に比べるとプレミアムで高額なのに「こんなことある?」という事象だったが、すべて新車保証の範疇だったため幸いにも自己負担はなく、ディーラーの手厚い対応のおかげで不満も不安もなく乗り続けることができた。
所有していた輸入車は、もともと日本市場で売れ筋の車種だったため、ユーザーからのフィードバックも多かったはず。日本という風土との親和性が高く、それが壊れにくさにつながっていたと言えるかもしれない。
だから、輸入車に対して少なからず懐疑的に思う人からすれば、「それってあなたの感想ですよね?」と、某論破王のようなツッコミが入りそうだが、いずれの愛車に対しても共通して言えるのは、普通に使っているだけなら品質や耐久性に関しては、それまで所有していた国産車と比べてまるで遜色がなかったということ。
■走りのよさに隠された速度域の違い
この筆者の感想は、ここ数年のうちに日本へ導入されたすべての輸入車に当てはまる(はず)。もちろん、庶民が購入できる車種に限ったことではあるが、品質や耐久性に不安があるから輸入車の購入を控える……ということには、「ふーん、そうなんだ。なんかもったいない」と思ってしまう。
もったいないと思う理由としては、走行パフォーマンスの高さがある。概して輸入車は走行安定性に優れ、確かな操舵フィールが実感できるうえに乗り心地もいい。走りにおけるバランスのよさは同クラスの国産車よりも秀でているのは間違いない。
たとえば日本の法定速度の上限は時速100km/hとなっているが、欧州ではこれを大幅に超える速度域で走ることが多い。こうした状況でもつねに安定性を維持するには、ボディ剛性、サスペンション、ブレーキなど、走りを支えるさまざまな機能が高い水準で調和していなければならない。
走りがいい=スポーティということではなく、実用的な機能として長年にわたって走行性能の向上に取り組んできたから、近年著しくレベルアップしている国産車と比べても走りの能力は高いと言わざるを得ない。
車内の作りにも同様のことが言える。運転席まわりは適切な姿勢でドライブできるよう設計されていることから、長時間ドライブでも疲労が少ない。なおかつメーターやスイッチの視認性や操作性もよくないと高速走行時の優れた安全性が確保できない。これも切実な要求なので、国産車に比べるとシートなどの部品の作りや、室内設計が違ってくるというわけだ。なにより細部にいたるまで質感が高い。同クラスの国産車よりも少々高くなることもな得できる要素と言えるだろう。
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