モデル末期のアルファードは高額車なのに売れる秘密はどこにある?

■少し高額なクルマでも手が届く、残価設定クレジットの仕組み

 アルファードは高額車なのでなかなか手が出ない。そういう人が多いのもわかる。オプション込みで580万円のアルファードを買うというのは、そんなに簡単にできる決断ではない。

 だがその代わり、3年前にやや節約して450万円のクルマを買って、今の下取り価格が150万円だったとすると、値落ちは300万円。

 最初に背伸びして高い値段を払って、高級感のあるアルファードに3年間乗れて、そして買った時から200万円しか値段が下がらず下取りしてもらえた方が結果としては100万円の節約になった、ということもできる。

 最近はサブスクや残価設定型クレジットなど、高額なクルマを購入する際の月々の負担を減らすための選択肢が増えてきているが、ではアルファードはどんな買い方をするのが一番お買い得なのだろうか。

 新車を購入するときに最近よく使われる残価設定クレジット。クルマ代の100%を借りる通常のローンでの購入とは違い、ローン期間終了時にクルマの価値が一定程度残っている(=残価)ことを最初から織り込んで、クルマ代の(100%―残価率)を借りることによって月々の支払いを減らす、というものだ。

 詳しく説明していこう。アルファードの場合、ローン期間3年にすると残価率は55%、つまり借りる金額は100%ではなく45%となる。5年だと残価率は39%に設定され、借入額は61%となる。

 支払総額525万円のアルファードS Cパッケージを、頭金150万円で3年の残価設定型プランで購入するとしよう。

 現時点の条件だと、初回の支払いが4万7139円、その後毎月の支払いが4万6800円(34ヶ月)、そして最終回の3年後に車体本体価格468万1600円に残価率55%をかけた257万4880円を支払う契約になる。

 3年後にローン期間が終了したときには、次の3つのうちのどれかから選択できる。

 1つ目はクルマを引き渡して何も払わず契約終了。ただしクルマの状態が一定以上かつ無事故で、走行距離が5万4000キロ以内(月あたりの走行距離1500キロ)の場合。

 2つ目は契約時点で決められていた、当初の車両本体価格の55%相当の257万4880円を支払ってクルマを引き取る。

 3つ目は、当初の車両本体価格の55%相当よりも3年後のディーラー下取り価格の方が高くなっていた場合だけだが、差額をオーナーが受け取って次の車の購入代金として使うことができる。仮にディーラー下取り価格が360万円だったら、100万円以上を受け取って、次のクルマの購入費に使うことができてしまう。

 以上が、残価設定型クレジットの概要だ。

■クルマのサブスク、KINTOでの購入はアルファードに向いているか?

 では、最近よく聞く「クルマのサブスク」だとどうか。

 トヨタの新車のサブスクKINTOは、ローン同様に月々定額を支払うが、その額にはクルマの購入費、自動車税、自動車保険、車検代、メインテナンス、消耗品、故障修理費がすべてコミコミになって含まれている、というものだ。

 KINTOがすごいところは、まず初期費用ゼロでクルマを買えるところ。また、自動車保険に年齢や運転者の制限がないところ。たとえば、今は子供が免許持っていないけれど、来年18歳になるので免許を取ってクルマを運転する予定でも、契約時点で決められたコミコミの値段は変わらない。

 初期費用ゼロ、つまり頭金なしで先ほどの残価設定型ローンと同じクルマを3年間サブスクした場合、月々の支払額は9万2150円となる。

 額は大きく見えるが、月々4万7000円ほどの支払いの残価設定型ローンと比較すると、頭金150万円(36ヶ月で割ると1ヵ月分は4万2000円弱)がないこと、3年分の自動車保険代、自動車税(1年で4万5000円、1ヵ月分は4000円弱)などが含まれていることを考慮に入れれば、意外と高くないことがわかる。

全部コミコミで、事故など除けば不慮の出費がない、という安心感がある、クルマのサブスクKINTO。筆者撮影
全部コミコミで、事故など除けば不慮の出費がない、という安心感がある、クルマのサブスクKINTO。筆者撮影

 ちなみにトヨタのアルファードのホームページには、KINTOの「コミコミの月々定額3万8280円〜」と書かれたバナーが出ているが、「アルファード最安値グレードパッケージで追加オプションなし、7年契約、ボーナス月加算16万5000円の場合」と小さな文字で書かれている。

 KINTOと残価設定型クレジットとの一番大きな違いは、KINTOの契約期間終了時はただクルマを返却するだけなので、クルマの下取り価格がどんなに上がっていても、利用者には還元されないところだ。

 「リセールバリューが読みにくいクルマですと、KINTOを使った方がおトクな場合もあるかもしれませんが、アルファードのようなクルマですと、下取り価格が当初決められた残価率を大きく上回る可能性があるので、KINTOは正直あまりおすすめできません」と営業マンが教えてくれた。

 現在は中古車の相場は非常にしっかりしているものの、半導体不足や物流網の混乱の収束の可能性や、日本からロシアへの中古車輸出の急減などもあり、今のような中古車人気がいつまで続くのかはわからない。

 だがパッケージングに優れ、今でも高級感を感じさせるアルファードがモデルチェンジしても中古車市場でいきなり不人気になるようなことはやや考えにくいのではないか。

 モデル末期であることをうまく活用して賢く購入すれば、3〜5年後にはこれまで通り「アルファードを買っておいて間違いなかった」となるのではないかと筆者は予想する。

【画像ギャラリー】キングを通り越していまやモンスター!! デビューから7年以上経過もいまだ怪物級の売り上げを誇るトヨタ アルファード(10枚)画像ギャラリー

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