やりがちだけど実はNG? 車の「パッシング」よくある8例と正しい使い方

やりがちだけど実はNG? 車の「パッシング」よくある8例と正しい使い方

 右折待ちなど、対向車が過ぎ去るのを待っているとき、対向車がライトを素早く点灯/消灯させて、「いっていいよ」と、合図をしてくれることがあります。「パッシング」とよばれる行為ですが、「いっていいよ」という合図に使われるだけでなく、「先に行かせて」という合図にも使われることがあるため、トラブルの原因になることもあるようです。

 パッシングによる合図にはどんなものがあるのか確認しながら、パッシングによる合図の長所と短所、そして、ドライバー同士の最適なコミュニケーション方法について、考察します。

文/吉川賢一
アイキャッチ写真/Negro Elkha – stock.adobe.com
写真/Adobe Stock

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パッシングによる合図にはどんなものがあるのか

 パッシングを使うシーンとしては、以下のようなシチュエーションが考えられます。

●対向2車線の道で、直進車が右折待ち車に道を譲るとき。もしくは右折待ち車が譲ってもらったり、先に行かせてほしいとき

 よくありがちなシチュエーションですが、直進車に譲ってもらったからといって飛び出すと、陰から出てきた自転車やバイクとぶつかる右直事故にならないよう、注意が必要。譲る側もここで右折待ち車に道を譲るのが適切なのか、よく観察して判断をする必要があります。

●信号が変わったのに前走車が進まないとき(クラクションの代わりとして)

 クラクションよりは柔らかい印象ではありますが、場合によっては相手を不快にさせることもあるため、トラブルの元となります。

●狭い道でのすれ違いで、対向車が道を譲ってくれたので感謝の意を示すとき

 相手のドライバーの様子が見にくい夕方や夜ならば有効ですが、明るい時間帯であれば会釈やハンドサインでも充分に伝わるでしょう。

●横断歩道を渡ろうと待っている歩行者へ「先行していいよ」の合図として

 歩行者の安全面を考えれば、対向車が来ているときには、やらないほうが適切。対向車が止まる意思がない(見えていない)ことも考えられるからです。また、歩行者をあおるような行為は当然NG。こちらの場合も、明るい時間帯であればハンドサインの方が良いでしょう。

●対向車へ、道の先で警察の取り締まりや、落下物があることを伝えるとき

 警察による取り締まりが行われていることを知らせる合図として、以前はよく行われていましたが、最近では見なくなりました。レーダー探知機が広がったことに加え、そもそも暴走する人が減ったことが理由のようです。

●高速道路の追い越し車線などで、先行車へ先に行かせてくれの合図として

 最近はあまり見かけなくなりましたが、昔はパッシングを繰り返しながら猛スピードで走ってくるクルマをよく見かけました。同様の意味で使われる右ウインカー点灯も最近は見かけなくなりました。

●信号待ちで対向車のヘッドライトがまぶしいとき

 対向車のヘッドライトの光軸がずれている、道路に傾斜があってロービームが直撃するなど、相手に知らせるために行う方がいますが、これもトラブルの元。数秒間、我慢してやり過ごす方が無難です。

●バスジャックなどに遭遇したなど、車内の異変を知らせるとき

 昨今のバスには、非常用防犯灯等の緊急連絡装置を備えていることが多いそうですが、そうした装置がないバスは、パッシングを繰り返して、周囲のクルマや通行人へ、危機を知らせるよう徹底されているようです。

パッシングによる合図の長所と短所

クラクションよりは柔らかい印象のパッシングですが、曖昧なコミュニケーション方法なので、あおりパッシングと捉えられトラブルの原因になることも(yamasan – stock.adobe.com)
クラクションよりは柔らかい印象のパッシングですが、曖昧なコミュニケーション方法なので、あおりパッシングと捉えられトラブルの原因になることも(yamasan – stock.adobe.com)

 パッシングは、クラクションよりは威嚇や攻撃的な印象にはならず、ある程度、こちらの意図を伝えることができる点は長所。もちろん、しつこくパッシングを繰り返すような行為は当然NGですが、クラクションが厳密には「警笛鳴らせ」の標識のあるところ以外で使うことは、道路交通法で違反となるのに対し(※危険回避のためなど、仕方がない場合はは免除となることもあります)、パッシングは、道路交通法で違反とは明確にされていません。

 しかしパッシングは、短所の方が多いように思います。例えば、信号待ちで前走車の燃料給油口のふたが空いているのを発見したとき、善意でパッシングをしても、伝わらないどころか、あおりパッシングと捉えられかねません。特定のことを意味するわけではないパッシングは、非常にトラブルに繋がりやすいです。

 2019年1月、大阪府で、大型セダンに乗る61歳の男が、あおり運転と暴行の容疑で、書類送検されました。後ろを走行していた軽自動車の男性に対し、約450メートルにわたって急ブレーキを繰り返すあおり運転をしたうえ、赤信号で停車すると、男は車を飛び降りて、軽を運転していた男性の胸ぐらを掴みにかかったといいます。その原因がパッシングでした。

 警察の発表によると、男の大型セダンは店から道路へと急に飛び出し、それに驚いた軽自動車の男性がパッシング。これに男が「逆ギレ」し、上記の暴走と暴行行為に及んだそうです。あおり運転をするのはもっての他ですが、後続車がパッシングをしていなければ、こうした事件は起きなかったかもしれません。

 たとえ、ゴールド運転免許を持っていたとしても、常識では理解できない運転行動をするドライバーがたくさんいます。「イラッ」としても一旦落ち着く心の余裕を持てるようになりたいものです。

■可能な限り会釈やハンドサインで!!!

 明るい時間帯で、相手ドライバーの顔が見えるようならば、可能な限り、会釈やハンドサインで済ませるのが適切だと筆者は考えます。無用なトラブルを防ぐため、危険を知らせるなど、どうしても必要な場合を除いては、パッシングでの合図は避けたほうが無難です。

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