2021年、乗用車ブランド通称名順位でトップとなったのはヤリス(212,927台)だ。次点にルーミー(134,801台)、3位にカローラ(110,865台)が続く。
ヤリスとカローラがシリーズ合計での販売台数なのに対し、ルーミーは単独車種で約13万台もの販売を記録した。ライズも好調に売れ続けており、トヨタブランドにおける、ダイハツOEMの存在は、非常に大きなものとなっている。
今やトヨタ販売の一翼を担うダイハツOEMを、トヨタディーラーではどのように思っているのか。またユーザーとの間に混乱などは起きていないのかを取材してきた。トヨタディーラーにおけるOEMの今を考える。
文/佐々木 亘、写真/Toyota、ベストカー編集部
■爆売れし続けるルーミーとライズ
最近の新車販売台数を見ていこう。2022年3月、普通乗用車における販売台数は、1位ルーミー(16,976台)、2位ライズ(11,612台)となり、トヨタブランドでは5位にヤリスクロス(9,720台)と続く。ワンツーフィニッシュとなった、ルーミー/ライズの勢力は、年々拡大してきた。
ルーミーはダイハツトールの、ライズはダイハツロッキーのOEMだ。(正確には、ライズは共同開発車。)爆発的な販売台数を挙げ始めたのは2019年~2020年頃からである。
両者の際立った個性は、車両本体価格の安さだ。ライズはトヨタSUVラインナップの中で最廉価のモデルとなっている。ルーミーもパッソやヤリスと比べれば高いが、アクアやカローラスポーツよりも廉価で、手を伸ばしやすいクルマだ。
トヨタエンブレムが付けられ、品質はお墨付きとなれば、販売台数上位も必然だろう。さらに、日本一のトヨタ販売網が、販売を大きく後押ししている。
クルマが売れていくことは喜ばしいことだが、OEM車がこれだけ販売台数を伸ばしている現状を、トヨタ販売店はどう見ているのだろうか。
■当初は戸惑った営業マン、名称や機能の違いは今でも不安になる
トヨタがダイハツOEMを取扱い始めたのは、ここ数年の事ではない。1990年代にはデュエット(ダイハツストーリア)やラッシュ(ダイハツビーゴ)、パッソ(ダイハツブーン)など、コンパクトモデルを中心に販売を続けており、販売店での定着度も高まっている。
それでも、当時のOEMは、今のルーミーやライズほどの売れていたわけではなく、たまに販売するクルマ程度にしか考えていなかったと、トヨタ営業マンは話してくれた。
しかし、近年のように、販売好調なライズ、そしてルーミーの人気が高まると、初めのうちは取り扱いに困惑することもあったようだ。
例えば、機能性の違いやその名称が、トヨタ車とOEM(共同開発車を含む)では、大きく異なる。先進の予防安全パッケージの事を、トヨタでは「トヨタセーフティセンス」と呼ぶが、OEM車両ではダイハツ名の「スマートアシスト」と呼ばなければならない。
予防安全技術として、大まかには同様の機能だが細部は異なる。ユーザーからも、「このクルマはトヨタセーフティセンスだけど、ライズはスマートアシストとなっている。どう違うのか」という質問は、ライズ販売当初、非常に多かったという。
それでも売り慣れていけば、違いは気にならなくなり、トヨタ・ダイハツ双方の良い技術を、しっかりと説明しながら理解を得られるようになっていった、とも話してくれた。
売れ行き好調なライズとルーミーは、営業マンの成績向上にも大きく寄与してきた。初めは違和感の塊だったダイハツOEMも、今は欠かすことのできないトヨタラインナップの一つとなっているのだろう。
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