エアコン効かない! その時どうする? エアコン故障の予兆と対策とは

■エアコンシステムの構造を理解することも大事

エアコンの仕組みを理解していれば、不調の時などに原因がつかみやすい(ponsulak@AdobeStock)
エアコンの仕組みを理解していれば、不調の時などに原因がつかみやすい(ponsulak@AdobeStock)

 エアコンはたくさんの部品で構成されているが壊れる部品、冷房能力を低下させる部品はある程度限られてくる。それはコンプレッサー、コンデンサー、配管、ファン、エバポレーター、ファンレジスター、フィルターなどだ。

 トラブルとしては冷えない、風が出ない弱い、風が臭い、異音がするといったもので、それぞれの症状でも原因は必ずしも1つではないところが、エアコンのトラブルを複雑なものにしている。

 タバコを吸わない人であれば、車内は禁煙でエアコンフィルターを備えていれば、カビ臭い、ホコリ臭いといった臭いは起こりくいのだが、逆に僅かな臭いでも気になってしまう可能性もある。

 このエアコンフィルターの詰まりも風量を落としてしまう。定期的に清掃や新品への交換をすることで風量を維持することができる。特に最近はコロナ対策で外気導入を多用している人が多く、内気循環でも窓を開けて室内を換気しているのでフィルターが汚れやすい。

 交換費用はショップなどでは工賃込みで約4000~6000円。ただし、フィルターそのものは1000~2000円で手に入るから、充分自分で交換できるのでトライしてみるのもよいだろう。

 フィルターが詰まって風量が落ちた状態で使っているとファンモーターにも負担がかかるし、ファンレジスターの冷却も低下してしまう。ファンレジスターはその名の通りファンに流れる電流の抵抗となるもので、ファンの強さを変える部品だ。

 これはファンの風で冷却されながら作動しており、冷却が不足すると壊れやすくなる。ファンレジスターが壊れると、風量の調整が効かなくなったり、ファンが回らなくなったり回りっぱなしになるなどの症状が出る。

 車種によってはダッシュボードを脱着しての交換となるため、工賃が高くなってしまうのでフィルターの目詰まりには気を付けたい。

 フィルターは消耗品だから交換すればいいとしても、その他のエアコンシステムは、本来メンテナンスは必要なく、使い続けることができるものだ。なぜなら家庭用のエアコンや冷蔵庫はフィルターの掃除以外のメンテナンスを必要とせず、10年くらいは使い続けることができるではないか。

 冷媒であるクーラーガスが抜けて圧力が下がってしまっていると、コンプレッサーが圧縮しようにもなかなか圧力が上がり切らず、気化熱で十分に冷やすことができなくなってしまう。これが、冷房が冷えなくなる主な原因だ。

 クーラーガスが抜けてしまうのはコンプレッサーやコンデンサー、配管などのシールの劣化や振動や圧力による破損が原因であることが多い。コンデンサーが跳ね石などで破損してしまうこともある。

 そんな状態でもクーラーガスを充填してやれば一時的には冷房能力が復活するが、ガス漏れが直っていないのであれば、やがてまた利きが悪い状態に戻ってしまうことになる。スローパンクしているタイヤに空気を入れて乗っているようなものだ。

 コンプレッサーオイルにリークテスト(漏れる箇所を調べる)のための蛍光剤が添加されているものもある。わずか漏れているのであれば、こうしたケミカルを充填してしばらく乗って原因を追及して、修理費用を見積もりしてもらい、修理するかクルマを買い替えるか判断してもいいだろう。

エアコンガスはHFCから新規格のHFOへの置き換えが進みつつある(chartphoto@AdobeStock)
エアコンガスはHFCから新規格のHFOへの置き換えが進みつつある(chartphoto@AdobeStock)

 専用のガス回収機でクルマからエアコンガスを回収し、不純物を取り除き、回収したガス量と規定量の差分のガス、エアコンオイルを規定量加え、キレイになったエアコンガスをクルマに充填する。料金はHFC-134a(=R-134a)では、約8000~1万円(車種によって異なる)となっている。

 この2、3年以内に登場した新車は、新規格のエアコンガスHFO-1234yf(=R-1234yf)対応に切り替わっている(車種によって異なる)。

 国内では、2015年4月に施行されたフロン排出抑制法にて自動車用エアコンについて定められた、「2023年までにGWP(地球温暖化係数)を150以下とする低GWP化目標の達成」に向け、このR-1234yfへの移行が進んでいる。

 このR-1234yfは、R-134a(=HFC-134aのGWPは1430)に比べ、GWPが1未満と非常に低く、GWPを99.9%低減するという。

 またR-1234yfの大気寿命はわずか11日と、R-134aの13年、CO2の500年以上に比べ非常に低く、分解に数十年を要するHFC(代替フロン)やCFC(特定フロン、オゾン層破壊物質)とは異なり、R-1234yfは大気中に滞留しないという。

 ただし、R-1234yfの200g缶1本1万円前後もする。R-1234yfの工賃込みのガス補充料金はR134aに比べ、3万~5万円程度と非常に高価となっている(車種によって異なる)。

 オートエアコンは便利な機能だが、操作パネルや制御系が壊れると結構な修理代がかかることもある。そういった意味では最近のクルマは修理するより、使い捨てに近い存在になってきてしまっているようだ。

 以下エアコン関連の修理費用の目安を紹介しておこう。

 コンプレッサーが焼き付いてしまった場合、冷媒とともに削られ落ちた金属カスなどの不純物が冷却回路内の隅々までに回ってしまうため、冷却回路を構成するパーツを総入れ替えする必要が出てくる。車種にもよるが、約10万~30万円という高額の修理代がかかることも覚悟しておきたい。

 エアコンが臭かったり、風が弱くなった場合はエバポレーターが原因。エキスパンションバルブで低温・低圧にされた霧状冷媒を大量に気化し、ファンにより送られる車室内の暖かい空気がエバポレーターを通過することによって冷却し、室内を冷房化する。

 暖かい空気がエバポレーターフィンに当たり、露点温度以下に冷却されると空気中の水分が凝縮し、エバポレーターフィンに水滴が付着する。この結果、車室内の湿気をとることができる。

 このエバポレーターが壊れた場合、交換費用は約5万~10万円。洗浄も行ってくれるが1回1万円以上かかる。小さい子供がいて、カビや細菌が気になる人はフィルター交換とともに年に2回のエバポレーターの洗浄をお薦めする。

●主なエアコン関連部品の修理費用

・エアコンガス補充/約8000~1万円(R-134a)、約3万~5万円(R-1234yf) ・エアコンガス漏れ修理/約2万~3万円
・エアコン・コンプレッサー交換/約5万~10万円
・ファン(ブロワー)モーター交換/約2万~5万円
・エバポレーター交換/約5万~10万円
・エキスパンションバルブ交換/約2万円
・エアコンフィルター交換/約2000~5000円(年1回交換)
・サーモスタット交換/約1万円

※車種によって異なるため、あくまでも目安としてください

次ページは : ■エアコンの利きを改善する方法もある

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