シミュレーション技術の向上で必要なくなった「ボンネットのエアスクープ」
かつてはほとんどのターボ車に装備されていた、ボンネットの「エアスクープ(エアインテーク)」。ターボ車のエンジン廃熱のための空気の取り込み口として装備されていたものですが、「エアスクープがある=高性能車」であったことから、クルマ好きの間でもてはやされた装備です。
減った理由は様々ですが、空気の流れを緻密にシミュレーションすることができるようになったことで、エアスクープがなくとも、エンジンルームの廃熱を、ある程度コントロールできるようになったことが影響しています。
ボンネットのエアスクープといえば「スバル車」というほど、エアスクープにこだわり続けてきたスバルは、現在もWRX S4とレヴォーグにエアスクープを採用しています。先日発表となったGRカローラにも、エアスクープが取り付けられていますが、スバルの場合は、デザインのアイコンとしても受け入れられており、もはや外すことができなくなっているのでしょう。
電動化で出番のなくなった「スーパーチャージャー」
1980年代から1990年代前半にかけて、多くのモデルで採用されていたスーパーチャージャー。しかし現在は、国産車において、スーパーチャージャーを採用しているモデルはありません(2012年に日産ノートに採用されましたが2020年に生産終了しています)。マツダ3やCX-30に搭載のSKYACTIV-Xは、スーパーチャージャーに近い構造ですが、いわゆるスーパーチャージャーの使い方とはちょっと違います。
スーパーチャージャーの最大の課題は、エンジンの動力をもとにコンプレッサーを駆動するため、駆動損失が発生し、高速回転領域の出力低下と、燃費の悪化が起こること。一部の欧州車では、ターボチャージャーのコンプレッサーをモーターで回す、電動スーパーチャージャーも登場していますが、電力消費が大きく、仕様領域は低速域のみと狭く、ごく一部の高級車に留まっています。
電動化全盛の現在は、最もパワーが欲しい発進時にはモーターで駆動力を補うことが容易です。あえてスーパーチャージャーに拘る理由は皆無。この先、スーパーチャージャーが復活することはないものと思われます。
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今回取り上げた装備を残しているクルマは、もはやそのアイテムが、クルマのアイデンティティになっているため、外すことができないのでしょう。現在当たり前に装備されている、マフラーやワイパー、サイドミラー、ドアハンドルなども、10年後にはすでに消えているかもしれません。技術の進歩は楽しみでもありますが、寂しい面もありますね。
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