■片岡英明氏が推すインフルエンサー車
1990年代を前に日本は世界一の自動車王国にのしあがった。が、販売台数は増えたものの、プライドの高い欧米の自動車メーカーの人たちの一部は、日本車のことを見下している。
そういった人たちをギャフンと言わせ、1990年代のFFファミリーカーのベンチマークになったのが日産の初代プリメーラだ。
日産車は早い時期にFF車を発売したが、若者好みの魅力的なクルマは少なかった。上のクラスとなれば、なおさらだ。
だが、1990年2月に登場したプリメーラは違う。欧州テイストで気持ちよく走り、おっさん臭くない。
だから質の高いファンの獲得に成功し、欧米の自動車メーカーを慌てさせている。その後のFF車の設計に大きな影響を与えた名車がプリメーラだったのだ。
ホンダが1992年2月に送り出した異色のFFスポーツクーペがCR-Xデルソル。スポーツカーの新しい形を提案し、トランストップと呼ぶ画期的な電動メタルトップを採用した。クーペの快適性とオープンカーの爽快感を1台で楽しむことができる。
今につながるクーペ・カブリオレやリトラクタブル・ハードトップの先駆けとなり、メルセデス・ベンツやBMW、プジョーなどのクルマづくりに大きな影響を与えた。
4輪駆動の快速スポーツワゴンを身近な存在にしたスバルのレガシィは、2代目のときの1995年にグランドワゴンを加えている。後のランカスターだ。
ワゴンとSUVのクロスオーバーで、丸型フォグを装着し、最低地上高も200mmを確保した。タイヤはマッド&スノーだ。ビスカスLSDも標準装備する。エンジンは余裕ある2.5Lの水平対向DOHCだ。グランドワゴンに刺激を受け、アウディやボルボが追随した。
1997年に鮮烈なデビューを飾ったハリアーも、プレミアムクロスオーバーSUVの市場を開拓した記念すべきクルマだ。
6代目カムリのメカニズムを用い、高級セダンの快適性とSUVのタフな走りを両立させた。スキマを突いたハリアーの成功にショックを受け、2000年代になると欧米の名門が次々にプレミアムSUV市場に参入。今も世界の潮流となっている。
三菱のランサーエボリューションもラリー界の流れを大きく変えたインフルエンサー車だ。
スバルのインプレッサWRXとともにWRCに参戦し、破竹の快進撃を続けている。セダンボディだが、軽量コンパクト設計で4WD、ターボもパワフルだから戦闘力は高く、欧州勢を寄せ付けなかった。当然、タイトルを奪取し、ラリーカーの開発コンセプトを変えさせている。
■インフルエンサーとなる条件とは!?
“インフルエンサー車”、つまり他メーカーに影響力を及ぼすクルマだが、デザインであれば「奇抜」なだけだったり、新技術であれば他に応用のきかないようなものではインフルエンサーにはなることはできない。
もちろん、他にはない独自性、オリジナリティはインフルエンサー車には必須の要件なので、このあたりの境界線が難しい。
一見奇抜に思えたジュークのフロントマスクは間違いなくデザイン的オリジナリティがある。清水氏が評しているように欧州のカーデザインに影響を及ぼした。
ランエボ、インプレッサSTIのようなコンセプトも世界に影響を及ぼしたインフルエンサーだ。
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