■販売好調といかなかった原因は?
ところが、このウェイクが大ハズレに終わったのだから、謎としか言いようがない。
ウェイクの生産終了が決まったことで、ウェイク失敗の原因がいろいろ分析されている。それらを要約すると、この4つになる。
「背が高すぎた」
「ボディが重すぎた」
「乗り心地が悪すぎた」
「値段が高すぎた」
どれもこれも、もっともらしく聞こえるが、合理的な説明にはなっていない。
「背が高すぎた」と言うなら、初代タントですでに「あまりにもムダに背が高すぎる!」という印象だったが、そのムダな広々感がウケて、タントは軽ナンバー1の座にまで登りつめた。軽の広さ競争には限界はないように思えたのに、なぜウェイクが急に「背が高すぎた」になるのか?
ダイハツ アトレーの全高は1890mm。ウェイクよりさらに55mm高いが、背が高すぎて売れないどころか、アウトドア志向のユーザーに大いにウケている。なぜウェイクはダメだったのか?
ボディの重さも同様だ。ウェイクの重さはアトレーと同レベル。約1tという車両重量は、軽としては間違いなく重いが、重すぎるとも言えない。
「乗り心地が悪すぎた」は、確かにそのとおりだ。当時のダイハツは横転防止対策として、軽ハイトワゴンのサスペンションを固め、ロールを抑えようとしていた。
タントですら足が固くて乗り心地が悪かったのに、ウェイクはその上を行っており、個人的は「これは耐えられない!」と思ったほどである。しかし軽の売れ行きは、そういった専門家的な評価では決まらないのが常だ。「乗り心地が悪すぎたから売れなかった」というのは、後付けの理由のように思えてならない。
「値段が高すぎた」に関しては、確かにタントより10万円ほど高かったが、それを言ったらタントだってムーヴより10万円くらい高い。値段が高くても、もっともっと広い室内を! というのが当時のユーザーの要望だったはずだ。
■次期型の軽自動車にどんな影響を与えるか?
こうやって考えていくと、ウェイクの失敗は、やっぱり謎である。軽自動車の売れ行きは、「なんとなく」な雰囲気で決まる。そして一度火が付くと、「売れているクルマなら間違いない」と、さらにどんどん売れて行く。
ウェイクに火が付かなかったのは、なんとなく「ここまでの広さは要らないかな」ということだったのだろうか? タントでも広さが足りない人は、最初からキャブオーバータイプ(エンジンが中央床下)のアトレーやエブリィに流れていて、ウェイクでは中途半端だったのだろうか。
とにもかくにも、ウェイクは、軽スーパーハイトワゴンという新たなジャンルを切り開こうとして失敗し、追随モデルもないまま消えた。しかし、軽自動車のスペース競争が終わったわけではない。車中泊ブームもあり、アトレーが乗用車的な使い方をされつつある今、軽ハイトワゴンの全高は、現在よりさらに高くなっていく予感がする。
タント、N-BOX、スペーシアの次期型の全高が、ウェイクの1835mmと並び、いずれは超える可能性は十分ある。ダイハツのDNGAのような優れたシャシーがあれば、全高が高くても、ロールを適度に抑えつつ足をしなやかに動かし、乗り心地を確保することも可能になっている。つまりウェイクは、出るのが10年早すぎたのかもしれない。
【画像ギャラリー】四角くて愛嬌のある形が魅力のウェイクを写真で見る!(7枚)画像ギャラリー
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