EV全体のコストが下がるのは2030年代
その他、EVの主要構成部品であるモーターやインバーターなどの制御系部品については「コストはまだ高いものの、電池の割高感はその比ではない」という声が多い。
こうした状況に対して、国としても国内での車載電池製造の支援策などを打ち出しているが、電池コストが下がり、EV全体のコストが本格的に下がるのは2030年代に入ってからになりそうだ。
そのため、当面はEVのコスト抑制で最も有効なのは、搭載電池容量を抑えることであり、その代表例がeKクロスEVとサクラということになる。
また、別の視点で価格を見ると、リセールバリュー(下取り価格)が気になるところだ。結論からいえば、まだ不確定要素が多い。トヨタがbZ4Xを売り切り型ではなく、日本での個人向けはサブスクKINTOのみとしていることが、その証明だといえるだろう。
また、補助金や税制優遇などは、あくまでも普及を後押しするための時限立法的な措置だ。それをもって買い時と考えるのか、またはそれはリセールバリューも含めてまだコストへの課題が多いためにリスクもあるという解釈をするのかは、ユーザーそれぞれの判断であろう。
3大課題の2つめ、充電時間と航続距離についても、車載電池の容量に直結する話だ。距離を稼ぐには電池が大きくなり、価格も上がる。大きな電池をより短い時間で充電しようと思うと充電器の出力を上げる必要がある。
そして、3つ目の課題である充電インフラとしては、大出力型・急速充電器の整備について「EV需要の拡大の少し先を見ながら進める」(充電インフラ最大手の代表者)という。
家庭での普通充電(200V)を、日常生活の中でルーティーンにできる人はよいが、機動性の面ではガソリン車やハイブリッド車に劣ることは否めない。
社会的にはまだ不透明な部分も
このように、EVの三大課題の解消に向けては、まだ道半ばといったところだ。見方を変えると、EVはガソリン車やハイブリッド車の代替ではないため、ユーザーのみならず社会全体でEVのあり方を考えていく必要があるともいえる。
いまいまの世界的EVブームは、EU(欧州連合)の執務機関であるEC(欧州委員会)が推進する欧州グリーンディール政策による政治的な動きが根源だ。その影響が、アメリカや日本に飛び火し、また中国での独自の新エネルギー政策を後押しした形だ。
日本でもグリーン成長戦略により、当面はEV推しの機運があるだろうが、実際に社会がEVをどのように許容していくのか、その先行きは未だに不透明と言わざるを得ない。
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