■まるでサーカス団!? 世界を股にかけてのアクション
舞台はバンコク→アゼルバイジャン→モナコ→チェンマイ→香港→ウィーン→ベルリン→クロアチア→プラハと目まぐるしく移動する。
それぞれの都市にアクションが用意されていて、飛行機からパラシュートで飛び降りつつ、空中で殴り合いをするというアクロバティックなアクションや、ナイフを使った接近戦等があるが、そのなかでももっとも大きいのがプラハでのアクション。
美しい石畳の古都を舞台に、街をひっくり返すほどの銃撃戦&カーチェイスをみせるのだ。
シックスが身を寄せたかつての同僚の瀟洒なアパートが木っ端みじんになり、間一髪逃げ切ったシックスを警官が確保。
手錠で広場の手すりにつなぐと、その彼を殺すべく一個中隊ほどの刺客がフル装備で結集。機関銃からバズーカ、ジープから装甲車まで総動員して、街をこれでもかと壊しまくりながら彼を追いかける。
そんななかシックスが逃げ込むのが路面電車。今度はこの電車と、彼を追いかけるベンツのジープ&機関銃が銃撃戦を繰り広げる。
では、どうやってこの窮地を逃げ切るのかというと、シックスの唯一の味方であるミランダが運転する車なのだ。走る路面電車にピタリと横づけされた車に、彼は飛び乗ろうとする。
■なんと4種類のアウディが登場
今回、ピックアップしたいのはこの車。アウディのBEVのRS7スポーツバックe-tronなのだ。いやあ、メチャクチャかっこいい! 赤という色がアルマス嬢によく似合っている上に本当によく走り小回りが利く(ように撮っている)。
何せ傭兵部隊(だと思う)がベンツのジープに乗ってマシンガンを撃ちまくっていても何のその。パトカーに追いかけられても何のそので豪快に古都の石畳を疾走するのだ。
このアルマスはもう一台、EVのQ4スポーツバックe-tronを運転し、さらにもう一台、同じくアウディのピュアEVのRS e-tron GTが登場し、こちらを運転するのはゴズリングその人。
もうひとり、パキスタン人(だと思う)のエージェントの車として走るのはフラッグシップスーパースポーツモデルR8クーペ。つまり、4種ものアウディが登場しているのだ。
日本でもこの秋から販売されるというQ4スポーツバックe-tron。電動コンパクトSUVなのだが、少なくとも本作のなかでは“コンパクト感”はまるでナシ。そもそも電動自動車という感じもしない。つまり、パワーも存在感もピカイチということだ。
ちなみに、アウディが大活躍する10分にも及ぶプラハの大アクションは、10日間も広場周辺を通行止めにして撮影に臨んだと言う。
もちろん、これまでにそんな大規模な映画撮影はなく、ルッソ兄弟も「なぜ許してくれたのか、いまだに不思議なんだ。プラハの人たちはきっと、私たちのことを大好きか大嫌いかのどちらかだと思うよ」と言っているくらいだ。
とはいえ、実はこの兄弟『ウィンター・ソルジャー』の撮影時も、ワシントンDCに見立てたクリーブランドの大通りを2週間も閉鎖して銃撃戦&カーアクションを撮った経験がある。この大規模なアクションは、彼らの得意とするスタイルなのだ。
●解説●
殺人の罪で服役していたコートニー・ジェントリーはCIAのフィッツロイのオファーを受け、出獄させてもらう代わりにCIAの工作員になる。シエラ・シックスというコードネームをもらった彼はスパイとしての優れた腕前を発揮し、フィッツロイのために働いていた。
ところが、そのフィッツロイが野心家の部下にハメられて失脚。その男は、サイコパスの元CIA、ロイド・ハンセンにシックスの抹殺を命じる。
原作はマーク・グリーニーの『暗殺者グレイマン』。そもそもスパイものが大好きだったロッソ兄弟がこのスパイアクション小説に惚れ込み映画化を熱望。9年もの時間をかけてやっと実現したという。
製作費は、Netflix作品のなかで最高額と言われている2億ドル(およそ260憶円)。くだんのプラハの10分間だけで4000万ドル(およそ53憶円)を費やしたというから凄まじい。
この製作費に見合うだけのヒットとなったのか、早くも続編にゴーサインが出ている。原作はあと9作残っているので、ストリーミング界の『ジェイソン・ボーン』シリーズになれるかも!?
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