「商用車にEVは厳しい…か」に光明が!!! 交換式充電池の可能性と活路あり!! 

「商用車にEVは厳しい…か」に光明が!!! 交換式充電池の可能性と活路あり!!

 2022年7月、トヨタが主導する商用車の共同技術会社「CJPT」とヤマト運輸は、共同で商用のバッテリー交換式EVの開発と、そのためのバッテリーの規格化の検討を開始すると発表しました。

 商用EVのバッテリーを交換式にすることによって、コスト低減や充電時間の短縮などのメリットを掲げており、実現すれば、現在の固定式バッテリーEVの課題をクリアすることが可能。はたして実現は可能なのか、また、実用化された場合、乗用モデルのバッテリーEVも、交換式にすることはできるのでしょうか。

文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
アイキャッチ写真:Holoholo & co.
写真:NISSAN、NIO、TESLA、川崎市、写真AC、Adobe Stock

【画像ギャラリー】バッテリーEVが電池交換式に!??  トヨタ主導の「CJPT」とヤマト運輸が、商用バッテリー交換式EVの開発を発表!!(12枚)画像ギャラリー

中国メーカーを除けば、EVのほとんどはバッテリー充電式

 トヨタが主導し、いすゞとスズキ、ダイハツが出資する共同技術会社「CJPT(コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジーズ)」は、ヤマト運輸と共同でバッテリー交換式の商用EVの開発を進めること、そのためのバッテリーの規格化・実用化に向けた検討を開始することを発表しました。

 バッテリーEVは、一部の中国メーカーを除けば、ほとんどはバッテリー充電式を採用しています。バッテリーは日々進化を続けていますが、現時点のバッテリー充電式EVの課題は、バッテリーのコストが高い、航続距離が短い、充電時間が長いことです。

 CJPTとヤマト運輸は、一般的なバッテリー充電式EVからバッテリー交換式EVにすることで、次の4つのメリットがあると発表しています。

・搭載バッテリーの容量を必要十分な容量に減らせるので車両価格が低減
・ドライバーの充電にかかわる負担が軽減
・バッテリー交換式によって、充電時間が短縮できるので運送効率が向上
・車両が稼働中にも交換用電池の充電が可能なので、電力需要が平準化

バッテリー交換式にすることで、充電時間は1/10に短縮

 現在、日米欧の大手メーカーのバッテリーEVは、ほぼすべてバッテリー充電式です。バッテリー交換式を採用しているのは中国メーカーで、なかでも新進EVメーカー「NIO(ニーオ)」がその筆頭です。

 NIOは、「パワースワップ(バッテリー交換)ステーション」を設置して、電欠となったバッテリーを充電済みバッテリーへ交換するシステムを構築しています。すでに200万台のバッテリー交換の実績があり、車両価格はレンタルとすることで100万円ほど安価に、バッテリー交換費用は月額1万~1.5万円に設定されています。バッテリー交換時間は約3分、充電式では急速充電でも30分はかかるので、充電時間は1/10に短縮、スタンドでの給油並みの時間で済むことになります。

 NIOは、バッテリー交換式によって、バッテリーEVの課題である車両価格を下げ、充電時間の大幅な短縮を実現しています。ただし、バッテリー交換式が普及するためには、交換ステーションの設置に加えて、安全なバッテリー交換技術、そしてバッテリーの規格化が必要です。

 中国はバッテリーEVが市場に投入された当初から、バッテリー交換式EVを政府が強力に支援してきました。バッテリー交換ステーションの設立など、政府補助によって初期投資などが抑えられるために、中国では成立しているのです。

最大の難関はバッテリーの規格化

 現在バッテリー交換式を採用している日米欧の大手メーカーはありませんが、過去にはテスラなど数社がバッテリー交換式にトライして、上手くいかずに断念しています。

 2012年に発売された米国テスラ社の「モデルS」は、当初はバッテリー充電式とともにバッテリー交換式にも対応していましたが、短期間で断念しました。当時は、まだバッテリーのエネルギー密度が低く、モデルSは航続距離を確保するため、何と500kgもある大容量バッテリーを搭載していたのです。品質を保証しつつ、これだけの重いバッテリーを交換するのは技術的にも難しく、また莫大な交換費用が掛かったため、断念となりました。

 現在は、当時に比べれば格段にバッテリーの性能は上がり、課題は徐々に軽減されてはいますが、今なおバッテリー交換式の普及を妨げているのは、バッテリーの規格化です。バッテリー交換式を成立させるには、基本的にはバッテリーの構造と性能、かつ脱着構造を規格化によって統一し、交換にかかわる費用を低減しなければいけません。

 しかし、バッテリーの技術はまだ開発途上、様々なバッテリーが開発されている過渡期。バッテリーはEVの差別化を決定づける競争領域でありますが、メーカー単独で規格化すれば、バッテリーの進化やEVの開発に大きな足かせとなり、技術進歩に取り残されるリスクが発生します。中国では、政府主導で自動車メーカーとバッテリーメーカーがタイアップして、技術進化にも対応できるバッテリーの規格化ができていますが、そのほかの国では中国のようにはいかないのです。

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