「名車」は最後に「迷車」となり、消えるべくして消えた── 日産マーチの魅力と知られざる真実

■歴代マーチから得られた教訓とは?

 そんなマーチが、販売の低迷をものともせず(?)、12年間も存続したのは、日産のボトムレンジという不動の地位による、レンタカーや営業車需要のおかげだろう。コンパクトカークラスのレンタカーを予約して、現地でマーチが割り当てられると、心底ガッカリしたが……。

 思えば2代目、3代目マーチは名車だった。デザインもインテリアもメカも実にバランスがよかった。特に2代目マーチの1000ccエンジンの回転フィールは、絶品とすら言えた。

 1992年にデビューした2代目マーチは、欧州市場を見据えて開発された骨太な設計で、1993年に日本車として初めて欧州カー・オブ・ザ・イヤーに輝いている。特にイタリアやスペインなど南欧諸国では、安くて走りがいいということで人気があった。

2代目こそベストマーチという人は少なくない。デザイン、走りとも優れていて、欧州でも高く評価された
2代目こそベストマーチという人は少なくない。デザイン、走りとも優れていて、欧州でも高く評価された

 日本では、「日産のボトム」ということで、それだけで軽く見られがちだったが、カーマニア的には、2代目マーチは真に尊敬に値するクルマだった。3代目マーチも欧州市場をメインに開発され、走りのしっかり感はさらに進化したが、国内向けには、ボディや足まわりのグレードをぐっと落とした仕様が投入された。

 たしかに日本のマーチ購入層の大部分は、走りにこだわりがなかったのだろう。しかしその現実的な選択が、最終的には4代目マーチをあそこまでダメなクルマにしてしまった。思えばライバルのヴィッツも、3代目で走りの質感が大きく低下したが、現行ヤリスに至って「もっといいクルマを!」的な改革を受け、まったくの別物にリボーン。販売トップの座を奪還した。しかしマーチには、大改革は訪れなかった。

 現実的な選択は、長い目で見れば誤りであることもある。歴史の教訓である。

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